扶桑社ミステリー<br> ラスト・コヨーテ〈下〉

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扶桑社ミステリー
ラスト・コヨーテ〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 321p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784594020019
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

30年以上前に起きた母親マージョリー・ロウ殺害の謎を追いかけるボッシュ。単独捜査の過程で彼は一人の女性と出会う。彼女の名はジャスミン。毎日絵を描いて過ごしているというのだが、ボッシュは彼女の自画像の奥に色濃く残る暗闇の影に、自分と同質のものを感じ取り、二人は愛し合う。やがて、事件の黒幕に潜むのは元地区検事局長で今は引退の身であるアーノウ・コンクリンであると確信したボッシュは、直接彼と対峙することに。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

143
ボッシュ4作目。再読。全くのマザコン小説じゃないか(苦笑) ダメな美しい母は無条件に息子を愛する…か。話の二転三転、読めない人間関係、そしてボッシュの魅力がこのシリーズのロングランのキーだろう。そして、作者のコナリーが、様々なミステリを読み、様々な取材を行ってきた経験の裏打ちを感じる。この作品で持ち出される文学作品は、『トム・ソーヤ』(モーテルの名前でだが)。ニューオリンズが舞台の『ネオン・レイン』ジェイムズ・リー・パーク。今作ではラスベガスにフロリダも出てきて、本当にコナリーは南が好きなのね、と思う2018/01/11

Tetchy

137
人の死の多い事件だった。マージョリー・ロウ殺害事件の真相を探っていくうちに現れる容疑者たち、関係者たちが次々と死んでいく。誰もが過去に隠した罪に苛まれて生き、いつそれが暴かれるかを恐れながら生きてきた。ボッシュが現れ、その時が来たと悟り、ある者は観念して、ある者は必死に抗い、またある者は更なる秘密を暴かれるのを防ごうとして死出の旅に発つ。過去に縛られ、過去を葬り去り、忘れさせようとした人たち。しかし同じく過去に縛られ、向き合い、克服した1匹のコヨーテ、ボッシュが最後に残った。これこそ人生なのかもしれない。2017/12/05

ゆいまある

89
ボッシュが新たな恋に落ちたのは、相手が謎だから。つまりよく知っちゃったら終わるという予告でもある。ボッシュがちゃんとコンドームつけてることが明記されてるのはとてもいい。しかし精神科医が頑張っても反抗ばっかりしていた癖に、行きずりの女性には素直に打ち明け話ができるボッシュ。これじゃ医者は用なしかと思いきや大事な役目が残ってた。いよいよ母が殺された事件の真相を掴むボッシュ。まさかの真犯人。そして余りに多くの人が死ぬ。数人は明らかにボッシュのせいで。幾ら自分勝手でも、こりゃ自己嫌悪で警察辞めたくなるよなあ。2020/05/29

harass

87
あっさりとした印象のある展開だがさすがのコナリーと唸ってしまった。母の死の真相に迫るボッシュの苦悩、これまで読者に想定させ、ボッシュも予想していたことをひっくり返す著者の思惑に、読者はニンマリとしてしまう。これがこの著者の強みだと思いつつ、満足のいける読書経験を楽しんだ。おすすめ。2020/11/30

ずっきん

72
言いたいことは色々あるが(笑)結論として「むあー、面白かった!」ものすごくセンチメンタルな内省さにもかかわらず、真相解明への展開、挿される周囲の人物との関係変化のエピソードが上手すぎて、夢中で読了。ジャズの「抱かれたことがない猫」の例えで全てが腑に落ちた。わたしはタフなちょい悪ヒーローを求めていたんだなあ。その枠からこやつがはみ出す度にむかっ腹を立てていたというわけだ。正座させて説教カマしたくなるよなオッサンだと認識したとたん、むちゃくちゃ愛すべき男に変貌したよ、ボッシュ。愛なくしては怒りも湧かないからね2019/04/30

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