内容説明
本書は1970年前後、著者とともに『ガロ』に情熱を傾け、時を経ずして中堅作家と認められていった作家たちの著き姿を、出会いから始まり、個々の作家の作風、日常のエピソード、そして性癖や人となりまで、表現豊かに、肌理細かく描いている。
目次
1 白土三平
2 水木しげる
3 つげ義春
4 滝田ゆう
5 つげ忠男
6 池上遼一
7 佐々木マキ
8 林静一
9 鈴木翁二と三橋乙揶
10 『ガロ』のうちそと
11 石井隆
12 菅野修
13 伊藤重夫
14 羽鳥ヨシュア
15 湊谷夢吉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
100名山
5
19歳の時の知り合った漫画家を夢見る友人の影響でガロを知り、2年ほど漫画にはまりました。この友人はガロ創刊号から終刊、再刊から再終刊、夜行も幻燈も全て持つ強者のです。我が家には柘植義春、忠男、水木しげる、永島慎二、林静一がまだ残ります。友人は青林堂にも顔を出していたし、私も池上遼一氏には会ったことがあります。私にとり忘れえぬ時代が蘇りました。2020/07/05
Nepenthes
1
ガロに登場していた幻想的・厭世的な作風の漫画家が大好きなので、彼らのことを少しでも多く知りたいと思い手に取った。時代を感じさせる貴重な言葉や体験談が楽しい。当人達からすればなんてことない生活と時代だったかもしれないけど、そこから生まれた作品はしっかりと後世に残りファンを作り続けると思う。素晴らしい作品というのはそういうものではないだろうか。2023/11/14
井堀 裕基
0
昔出版していたアングラ雑誌、そこで活躍していた編集者と漫画家たちの創作秘話がメイン。 正直知っている漫画家は水木しげると池上遼一くらいだけど、その頃の時代背景(学生運動、安保事件)も語られていて、あの情熱と狂気の入り混じったような時代だからこそ生まれてきた人たちだったのかと思った。 やっぱり朝まで語れるくらい大好きな物がある人は尊敬します。2014/02/22
よしだ まさし
0
権藤晋『ガロを築いた人々』ほるぷ出版を読了。 5年間にわたって「ガロ」の編集に携わった著者が、編集者として出会った漫画家たちを紹介した1冊。僕は扱われている漫画家の半分ぐらいしか知らないし、知っていてもほとんど作品を読んだことのない漫画家が多い。それでいて非常に面白く本書を読めたのは、メジャー誌が扱おうとしないきわめて個性的な作風を持った漫画家たちの姿を、実に丁寧に描いているからだろう。そして、そうした漫画家たちの姿を描いている中から、その時代の空気、匂いが伝わってくるからだろう。 なかなかの好著である。2012/06/11