出版社内容情報
「死」を「永遠の命」として形にしたミイラ。いま、エジプトはもちろん世界各地で、数多くのミイラが発見されており、かつミイラの研究も進んでいる。実は知っているようで知らないミイラの最新の研究結果とこれまでにないインパクトのあるビジュアルで見せたのが本書。高齢化社会の日本ではいま、「死」は誰にとっても身近にして考えざるを得ないこと。「死」を永遠の命の形として表したミイラは私たちに何を語りかけてくるのか? 人気の仏教学者の佐々木閑氏、博物館学者の宮瀧交二氏、文化人類学に精通する著述家田中真知氏の監修と解説とコラムで展開する唯一無二の「中学生から大人まで」楽しめるミイラ学本。
内容説明
守り神、即身仏、骨董品、見世物、万能薬…果てはミイラ売りまでミイラの運命でたどる「人類史」と現代に甦る「死生観」とは。
目次
序章 時代や社会が見えてくる世界のミイラ文化
第1章 エジプトのミイラ
第2章 中南米のミイラ
第3章 ヨーロッパのミイラ
第4章 ヨーロッパの湿地ミイラ
第5章 アジア・オセアニアのミイラ
第6章 日本のミイラ(即身仏)
番外編 世界のミイラ―ここにもいた!?悲運のミイラたち
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
252
「教養としての~」。シリーズ本ではないのに、最近、書店で実に多く見かける。この流行もついにここまで来たか…なんと「ミイラ図鑑」。「ミイラ学プロジェクト」という編者が気になって読んでみた。「つい30年前の昭和年代までは、身近にあった”死(死体)”がいま、遠ざかっている。当たり前の現象をなぜ、遠ざけているのか」に、共感した。パリの地下には、600万人以上の遺骨が眠っていたり、フランシスコ・ザビエルがインドのゴアでミイラとなって日本に皮膚の一部が安置されている、なんてのは驚いた。が、総花的で中身は薄かった。2020/09/12
徒花
92
おもしろかった。現代社会の教養としてはたしてミイラの知識が必要なのかについては非常に議論の余地があるけれども(冒頭にそのロジックは書かれているが、こじつけくさい)、まあ単純におもしろいというか知らない世界なので楽しい。大判で全ページフルカラー。ミイラの写真が満載なので、苦手な人は苦手だろうけど好きな人は好き。ミイラといえばエジプトとか、せいぜい日本の即身仏くらいしか知らなかったけれど、けっこう世界各地でミイラって文化としてあったんだなあというのがわかった。2023/01/19
gtn
34
死後、ミイラにされるのはまだいい。自ら進んでミイラになることほど自己満足なことはない。仮に法悦に包まれ最期を迎えたとしても、自分が即身仏になることと世の中が治まることの相関性はおそらく低い。2021/04/13
鯖
28
世界中のありとあらゆるミイラを集めた本。エジプトよりはるかに古い世界最古のミイラは7000年前のアンデスのもの。楼蘭の美女のミイラは知ってたけど白人だったのは知らなかった。レーニン怖い。インカ時代に高山で生贄にささげられた子どもたちの無垢な表情。泥炭地に沈められた脂漏化したミイラは…、脂漏ってあーやの推理小説に憑き物な気がするんですけど、黒いのか…。なんとなく石鹸みたいになってるんだと思ってた。面白かったです。2020/02/16
つちっち
20
「教養としての」とあるように宗教・文化・気候などミイラの存在した背景から、作り方やトリビヤまで解説されてました。表紙のセティ1世の威厳に満ちた風格、ロザリア・ロンバルドの息をのむほどの美しさ、大切にしてんだかどうだかルアン・ポー・デーン僧のサングラスミイラ、写真も充実です。現代の日本だと死体さへ見ることはほとんどないけど、生と死の距離が近かった時代・地域では身近な生活の中にミイラというか「死」という存在があって、その境界もはっきりしたものじゃなかったようです。2021/12/06