内容説明
戦時中に描かれた戦争画と画家の責任問題から、後を絶たぬ贋作の横行と絵画のバブル商品化、日本各地に数多く創設された美術館の経営危機、そして、東京芸大が抱える非芸術的な受験現象まで、戦後の美術界は、金と欲と権威主義が絡んだスキャンダラスな出来事に事欠かない。世を騒がせた「アートシーン」の背景を読み解き、この国の美術のあるべき姿を問う事件簿。
目次
第1章 戦争画家たちの戦後処理
第2章 贋作に振り回される人たち
第3章 前衛アートは徒花だったのか
第4章 絵画バブルの宴のあと
第5章 終焉を迎えた「美術館の時代」
第6章 芸術大学の非芸術的騒動
著者等紹介
大宮知信[オオミヤトモノブ]
1948年茨城県生まれ。中学卒業後、東京に集団就職。調理師、ギター流し、地方紙記者、編集者など二十数回の転職を繰り返して、ルポライターに。政治、教育、社会問題など幅広い分野を取材・執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ギルヲ
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敗戦後の戦争画家、贋作騒ぎ、前衛アート、絵画バブル、傾き行く官主導の美術館、芸大の矛盾、各章すべて興味深く読みました。権威とコネクションが幅を利かせる日本のアートシーンの問題点がなんとなくですがわかった気がしました。私も話題の展覧会ばかりじゃなく小さいところにも行かなきゃなあという気にさせられました。買うお金はないけど(泣)2017/10/17
アヤマ
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すごく面白かった! いろいろ、ためになります。 今まで美術の歴史的なところにあまり興味が持てずにいましたが、これを読んで詳しく知りたいと思えるようになりました。2014/02/28
mahiru123
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盗作騒動などいろいろ。面白い本だったけど、読んだ人少ないのか。2011/07/19
sasha
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美術品も裏の世界はドロドロ。贋作絡みの話が一番面白かった。2010/04/09
アルパカさん
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なんとも要領を得ない本であった。著者はライター出身とのことで、センテンスの単位では文句のつけようのない日本語を書くものの、それがパラグラフや節や章のレベルになると何を言いたいのかサッパリわからなくなる。引用とインタビューと著者の意見がごちゃごちゃになっており、ストーリーに沿ってデータを配置するという基本ができていない印象。著者は権威や学位を極端に嫌っているようなので、敢えて非論理的に書いたのかもしれないが、もう少し何とかならなかったのかとは思う。着想が良いだけに、実にもったいない。2018/05/13