内容説明
『日本奥地紀行』の著者のアジアをめぐる記録を初めて集成。知られざるバードの実像と足跡が浮かび上がる。第2巻は旅の実際、キリスト教伝道活動、極東報告などの作品を収録。
目次
2 旅の実際を語る(朝鮮・中国・ロシア領満州からの手紙;四川省西部の旅;『日本奥地紀行』新版序文と写真 ほか)
3 キリスト教伝道活動をめぐって(一旅行家の証言;中国・朝鮮・日本における伝道活動;ビカステス主教を偲ぶ ほか)
4 アジア旅行家の第一人者として(スーザン・バラード『日本昔噺』序文;朝鮮;極東でのスナップ写真 ほか)
著者等紹介
金坂清則[カナサカキヨノリ]
1947年富山県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は人文地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
109
この第2巻目はさまざまなバードの極東(中国、朝鮮、日本)についての文章が収められています。その中では四川省西部の旅と極東3か国での伝道活動についての話が興味深く読めました。前者では現在では残っているのかわからないのですが、その土地の民族の生活が細かに記されていて一つの探検紀行のような感じです。後者は3か国での伝道活動を通じての印象記のような感じです。それにしてもよく写真を撮っていたと感じます。2017/11/19
Miyoshi Hirotaka
9
19世紀のイギリスは、世界一の海軍力と全世界に張り巡らせた電信網で覇権を握っていた。イザべラ・バードは、そんな時代に未踏の極東を旅したイギリス女子力の代表。今の価値観からは「上から目線」だが、「朝鮮は一番興味をひかれない国、国民は人種のくず」、「中国はもっとひどく、そのひどさは底無し」と手厳しい。日本については、19世紀後半の20年間を「革命期(明治維新のこと)に定めた方針に従って着実に進み、堅実な成果を生んだ」と高く評価している。一方、神仏混合、裸同然の身なり、混浴など風俗面では評価が低い部分もある。2013/11/07
らんぷ
0
イザベラによる120年前の日中韓旅行記。〈1〉はほぼ写真のみ。〈2〉は写真+旅行記+α。写真は重複していたので〈2〉だけ読めば良かったかな。 ネットや電話がない時代、未知の世界の様子を知る唯一の手立て旅行記。文字通り、生々しい命がけの旅の様子が書かれている。とにかくイザベラの行動力には脱帽。中国での旅の妨害や戦時中の不安定な状況にもめげない! 観察眼と豊富な知識に裏付けされた内容は今読んでも色褪せない。植層、気候、政治経済、風俗、とてもニュートラルかつ具体的な内容で面白かった。2021/07/26