内容説明
北方ヨーロッパのキリスト教化に際し、カロリング・ルネサンス期を中心とする思想家たちは、古代の知的遺産を積極的に受容するとともに、自立への途を多様な著作形式で模索し、中世文化の全般的基調を定めた。清新な息吹きを伝えるボニファティウスからエルフリックまでの20作を収録。全篇本邦初訳。
目次
書簡集
福音書説教集
事物の本性について
文法学
ヨーク教会の司教、王ならびに聖人たちについて
書簡集
詩歌集
神の判決について
聖ディオニュシウスの生涯
聖職者の教育について
事物の本性について
霊魂論
王の教育について
無と闇の実在について
ヴェッティヌスの幻視
書簡集
ペリフュセオン(自然について)
讃歌集
対話
説教集
感想・レビュー
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roughfractus02
6
後に初代神聖ローマ帝国皇帝となるカール大帝は、フランク王国をキリスト教国とし、俗語化したラテン語の純化を図り、宮廷学校を設立して人材育成を行なった。修道院を組織化したラテン教父から2世紀、キリスト教は国家を支える知となり、その文献は俗語化前の古典として正典化される。ラテン語は文法レベルから整序され(アルクイヌス『文法学』)、自由学芸と呼ばれる学問体系は聖書の知に達する諸段階を成し、典礼習慣の組織化や標準化が行なわれる。その中で写本形態も巻物(volumen)から冊子(codex)に変わる(20編を収録)。2019/05/22