内容説明
詩女神にも比せられる最古期の詩人サッフォー、彼女の作とされる、ほぼ全ての作品を翻訳・註解し、評伝と作品論を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
8
漱石『三四郎』〈『絶壁ね』と大袈裟な言葉を使つた。『サツフォーでも飛び込みさうな所ぢゃありませんか』〉。サッフォーのエピソードで有名なのはレズ行為ではなくて、恋に破れて崖から飛び降りたって方である▲田川建三『書物としての新約聖書』や秦剛平のヨセフスもの、それにピタゴラス(派)ものなども読んでいるので、よく理解できた。ドン・ファンを艶笑譚でなく教会の秩序に逆らう反キリストとして持ち上げたりするのがロマン主義だったりするので、レスボス島のサッフォーもそんな扱われ方されてるだけだなということがよく分かる2018/04/23
Koning
7
古希に手を出した切欠が希臘神話で、教科書的に学んでいると次いで希臘哲学ということになるだろう流れが本流とはいえ、あまりにつまらない(笑)。やはりサッフォーさまでしょう?と手を出してみてもアイオリス方言という高い壁と更には焚書で断片しか残っていないという深い溝が横たわるわけです。そんな高すぎるハードルに敢然と挑んだ勇者による一冊。もちろん、呉訳等先行の名訳もありつつ、この本の解説ページをL&SとLoebの横に開いてみるというのはアリなんじゃないか?2013/03/24
in medio tutissimus ibis.
0
前五世紀、ギリシア世界でただ「女詩人」といえばその人を指すといわれサッフォーの現存する詩(多くはその断片)とその生涯、後世での扱いなどをまとめた包括的な研究成果。筆者は自身が詩人ではない故にその魅力を翻訳できていないと卑下するが、それでも伝わるその詩情の幾何かは現代においても色褪せない。それが、女性同士のものであるという点も、むしろ現代では素直に認められるのではないか。尤も、著者は学者らしく「本当のところはよくわからない」と結論付けるが。女性の学校を開いていたのではなく、劇の合唱隊の教師をしていたらしい。2015/12/02