出版社内容情報
古典落語『らくだ』を小説化。桂 文治が監修を行う。古典落語を小説化する「小説 古典落語」シリーズの『小説 真景累ヶ淵』『小説 牡丹灯籠』に続く第3作12月 第4冊『小説 西海屋騒動』、1月 第5冊『小説 品川心中』を刊行予定
内容説明
大きな体で大酒飲みの荒くれ者で、長屋や近隣の住民たちから嫌われていた通称「らくだ」。ある日、らくだの兄貴分、半次が長屋を訪ねると、らくだが死んでいた。半次はその弔いの金を工面するため、たまたま通りかかったくず屋の久六を呼び止める。らくだの死を知らされ、驚く久六だったが、半次に脅され、長屋の月番や大家に金品要求の言伝てを行うはめに。出し渋るところには、らくだの死骸を運んで「かんかんのう」を踊らせ、ついには香典や物品をせしめる。やがて、久六はらくだの母親のもとに使いに出かけるが―複雑な滑稽咄を人情咄として再構成、シリーズ第3弾!
著者等紹介
並木飛暁[ナミキタカアキ]
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。塾講師(国語)との兼業作家。ライト文芸、児童書、落語脚本などを執筆。ナンセンス・コメディの劇団所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
85
桂文珍さんの「らくだ」は聞いたことがあるが、笑わせてサゲでストンと落としてお終いだったのが、小説となると落語で聞けなかった登場人物たちの過去の泣き笑いの部分があって落語と小説を上手く融合させた作品だなと思う。らくだと呼ばれる町内では嫌われ者の男がフグにあたって急死。兄弟分の半次が通りかかった屑屋を見つけて葬儀の手配を指図する。家主、八百屋、町内を巻き込んでの騒動の後、酒盛りを始めた2人の男たち。小心者の屑屋が実は酒乱で半次と屑屋の立場が逆になる面白さ。らくだの死で初めて知った人間の裏側。喜怒哀楽満載。2021/01/16
J D
55
図書館で見つけて読んでみた。読む前に談志の演じる「らくだ」を聴いた。小説には、らくだの母や歳の離れた弟が登場するなど原作?とは異なるのだが、滑稽さと人情味がうまく存在してこれもありだなと思った。ただ、ワタシ的には、談志の「らくだ」の方に惹かれた。2022/09/28
コージー
17
表紙のリアルな表情に興をそそられ、手に取りました。屑屋で気の弱い九六が、半次の無茶な要求を断り切れずいやいやお遣いをさせられてるのが、ある時点から逆転する。その展開はとても面白く、最後には爽快感すらありました。後書きで昔からある落語だったことを知りました。 2020/12/22
豆あひる
10
シリーズ3作目。落語では聴いたことないんだけども会話のテンポ感が一番落語感強かった。噺家さんが話してるのが浮かびそう。人間関係もさっぱりしてるのでこんがらがらず読みやすい。「らくだ」はまさかの死体でしか出てこず驚いたけど謎の男半次と巻き込まれ久六のやりとりが面白くてあっという間に読んじゃった。2021/03/26
nori
6
Stop reading just after a few pages, because I have believed this story is only for 上方落語. So, if I read it, my impress by 笑福亭松鶴 (六代目) and others may be destroyed. If must be closed with 千日の "ヒヤ". Of course, I never enforce my idea to others. 2022/08/30