白水Uブックス
アウシュヴィッツと“アウシュヴィッツの嘘”

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  • サイズ B40判/ページ数 173,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560720806
  • NDC分類 209.74
  • Cコード C0222

内容説明

「ガス室はなかった」などの何度も繰り返されるアウシュヴィッツを巡る“嘘”を分析しながら、その歴史を平易に概説した、まさにアウシュヴィッツを考えるうえでの基本図書。

目次

第1部 アウシュヴィッツ絶滅収容所(「最終的解決」の経緯;ナチの強制収容所・絶滅収容所システム;アウシュヴィッツ絶滅収容所)
第2部 “アウシュヴィッツの嘘”―大量虐殺とその否定(アウシュヴィッツ絶滅収容所の歴史に関する史料;アウシュヴィッツ裁判;「修正派」の文献 ほか)
第3部 “アウシュヴィッツの嘘”のその後(“アウシュヴィッツの嘘”をめぐる問題状況;日本版アウシュヴィッツの嘘;ドイツにおけるホロコースト認識の現在 ほか)

著者等紹介

バスティアン,ティル[バスティアン,ティル][Bastian,Till]
1949年ミュンヘン生まれ。医学博士。ナチ時代の医学犯罪についての論文集『想起すること―医学と大量殺戮』を編集。また、ノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」のドイツ支部長を務めるなど、熱心な平和運動家でもある

石田勇治[イシダユウジ]
東京大学大学院総合文化研究科教授(ドイツ現代史)

星乃治彦[ホシノハルヒコ]
福岡大学人文学部歴史学科教授(ドイツ現代史)

芝野由和[シバノヨシカズ]
長崎総合科学大学平和文化研究所助教授(ドイツ現代政治)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぷるいち

15
数の問題ではないが理解のために計算した。小学校六学年、三十人学級、各学年四組。朝会で校庭に全員集まって整列している。その数は七百二十人。アウシュビッツでは、その数とほぼ等しい七百十人の人間が毎日殺されていた。つまり校庭の児童であれば、ほぼ全員。七百十人を四年半で乗じ、結果約百万人の死者。その行為の異常性は想像を遥かに超えている。人間は数字に抽象化できないので、その一人一人に生があったと考えると、到底この分量には書けない。昨年アウシュビッツに行ったので本書を読んだが、さらに知る必要があると感じた。2016/02/27

ぐうぐう

14
歴史の難しいところは、立場によりニュアンスが違い、思想により価値観が変わり、時代により評価が変遷する可能性があることだ。しかし、事実が修正されることがあってはならない。アウシュヴィッツにおける「ガス室はなかった」とされる嘘が、何度も何度も繰り返されるのは、そうすることで得をする立場の人間や組織が存在するからだ。歴史が思想によって捏造されていく過程は、あまりに恐ろしい。これらの行為には、資料の検証という、地味だが真っ当で真摯な分析をもって嘘を繰り返し駆逐するより他ないことを、本書は告げている。(つづく)2011/11/29

にたいも

7
「ガス室はなかった」「ホロコーストはなかった」というような何度も繰り返される「アウシュヴィッツの嘘」を、淡々と、そして毅然と根拠を示しながら事実を説明することで暴いていく。第3部の西川正雄さんの解説に至っては、かんでふくめるように丁寧で分かりやすかった。「もう一回言っておけばよかったと後悔しないように、何千回も言われ尽くしたようなことでももう一度言わねばならない。」(ベルトルト・ブレヒト)歴史を否定する人々はこれからも現れるのだろう。耳を貸して動揺しないように、それを上回って学び続けたい。2023/09/15

itosan04

7
たまたま古本屋でみつけて購入。一気に読んだ。現代日本人の立場で「アウシュビッツ」を語るのは難しさがある。予断と偏見をできるだけ持たずに淡々と感想を書こうとすれば、アウシュビッツ研究は歴史研究としてはまだまだだな、という感じか。初耳の話としては、収容所の有名な「アルバイトマハトフライ」以外の看板が数々あったという点。中村敦夫がマルコポーロ論争で重要な立場だったこと。ブラジル人親衛隊の存在。アンネフランクがどの列車に乗ってアウシュビッツに来たかの日付けも書いてある。何度も読み直したい。2016/04/24

加藤久和

6
「アウシュビッツにガス室は無かった」といういわゆる歴史修正主義と言われる言説を批判する。日本語の類書は少なく貴重な本ではないだろうか。新書だけに内容は軽めで物足りない感じもするが、日本人の学者4名による巻末の解説がよくできていて参考になる。胡散臭いアメリカ人のエンジニアが書いた『ロイヒター・レポート』なるものが事の発端で、このロイヒターが現地調査の結果ガス室が存在しないことを証明したのだという。国家的な政治的意図を隠し持った人々が歴史の隠蔽・改竄・捏造に躍起になるのはドイツも日本も事情は同じのようだ。2016/02/04

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