出版社内容情報
1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンで発生した大地震は、大航海時代以来交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。市内各所で発生した火災は瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。死者2万5千人以上、ヨーロッパ史上最大の地震災害である。しかし、首都壊滅の危機に国家の対応は素早く、国王ジョゼ一世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、直ちに被災者の救援と食糧配布、遺体の処理、治安維持などの対策に着手し、その後新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した。同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。地震の甚大な被害は忽ち各国に伝えられ、聖職者や思想家、科学者たちにも大きな衝撃を与え、様々な議論が沸騰した。
一国の首都を直撃した大地震として関東大震災とも比較され、地震・火災・津波の複合災害として東日本大震災以降再び注目を集めるリスボン大地震の実態と復興の足取りを史料を駆使して鮮やかに描き、社会・経済・科学・思想・宗教など広範囲に及んだ影響をたどる歴史ノンフィクション。
内容説明
1755年、首都壊滅す。万聖節の朝、リスボンを襲った大地震とそれに続く火災・津波は、欧州最大の交易都市として栄華を誇った街を廃墟に変えた。世界を震撼させた自然災害とその余波、都市復興の物語。
目次
第1章 万聖節の日
第2章 秩序の回復
第3章 被害の詳細
第4章 ポルトガルの変遷
第5章 名ばかりの黄金時代
第6章 説教師と哲学者
第7章 不死鳥のごとく
第8章 啓蒙主義と独裁
エピローグ
著者等紹介
シュラディ,ニコラス[シュラディ,ニコラス] [Shrady,Nicholas]
アメリカ合衆国コネティカット生まれ。ワシントンDCのジョージタウン大学で学位(哲学)取得後、著述活動を始め、“ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー”“フォーブス”“ナショナルジオグラフィック・トラベラー”他の雑誌・新聞に、文化、歴史、旅行、建築などの評論、エッセイ、書評を寄稿する。“アーキテクチュラル・ダイジェスト”には定期寄稿者として建築、都市計画、デザイン、美術に関する文章を寄せるとともに、多くのインタビューも行なっている。1986年からバルセロナ在住
山田和子[ヤマダカズコ]
1951年、北九州市生まれ。慶應義塾大学文学部中退。翻訳家・編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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