リスボン大地震―世界を変えた巨大災害

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リスボン大地震―世界を変えた巨大災害

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560093719
  • NDC分類 236.9
  • Cコード C0022

出版社内容情報

1755年11月1日、万聖節の朝、ポルトガルの首都リスボンで発生した大地震は、大航海時代以来交易都市として栄えたこの街を一瞬にして壊滅させた。市内各所で発生した火災は瓦礫と化した街を焼き尽くし、さらに大津波が人々を襲った。死者2万5千人以上、ヨーロッパ史上最大の地震災害である。しかし、首都壊滅の危機に国家の対応は素早く、国王ジョゼ一世から全権を委ねられた大臣カルヴァーリョは、直ちに被災者の救援と食糧配布、遺体の処理、治安維持などの対策に着手し、その後新たな都市計画のもと首都再建に乗り出した。同時にこの国を支配していた教会・貴族勢力を排除して、ポルトガルの近代化が進められていく。地震の甚大な被害は忽ち各国に伝えられ、聖職者や思想家、科学者たちにも大きな衝撃を与え、様々な議論が沸騰した。
一国の首都を直撃した大地震として関東大震災とも比較され、地震・火災・津波の複合災害として東日本大震災以降再び注目を集めるリスボン大地震の実態と復興の足取りを史料を駆使して鮮やかに描き、社会・経済・科学・思想・宗教など広範囲に及んだ影響をたどる歴史ノンフィクション。

内容説明

1755年、首都壊滅す。万聖節の朝、リスボンを襲った大地震とそれに続く火災・津波は、欧州最大の交易都市として栄華を誇った街を廃墟に変えた。世界を震撼させた自然災害とその余波、都市復興の物語。

目次

第1章 万聖節の日
第2章 秩序の回復
第3章 被害の詳細
第4章 ポルトガルの変遷
第5章 名ばかりの黄金時代
第6章 説教師と哲学者
第7章 不死鳥のごとく
第8章 啓蒙主義と独裁
エピローグ

著者等紹介

シュラディ,ニコラス[シュラディ,ニコラス] [Shrady,Nicholas]
アメリカ合衆国コネティカット生まれ。ワシントンDCのジョージタウン大学で学位(哲学)取得後、著述活動を始め、“ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー”“フォーブス”“ナショナルジオグラフィック・トラベラー”他の雑誌・新聞に、文化、歴史、旅行、建築などの評論、エッセイ、書評を寄稿する。“アーキテクチュラル・ダイジェスト”には定期寄稿者として建築、都市計画、デザイン、美術に関する文章を寄せるとともに、多くのインタビューも行なっている。1986年からバルセロナ在住

山田和子[ヤマダカズコ]
1951年、北九州市生まれ。慶應義塾大学文学部中退。翻訳家・編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

108
以前に読んだ同テーマの本はリスボン大地震の被害と復興に焦点を当てたが、こちらは大地震の前後でポルトガルの政治や社会が一変した状況を描く。植民地の富と奴隷貿易に依存して貧富の格差を放置し、英国の経済植民地に等しくなっても危機感を覚えず、カトリック教会と大貴族の専横下で名ばかりの黄金時代にあったポルトガルだが、国王から独裁権を委ねられたボンバル侯は旧弊な聖職者と貴族を容赦なく粛清し、有能な平民を抜擢して改革を断行した。フランス革命より30年近く前、ポルトガルは地震により中世的停滞を脱する革命を成し遂げたのだ。2023/11/02

どんぐり

85
1755年11月1日、万聖節の日の朝のリスボン。最初の激震が起こったのが午前9時30分。そして本震、90分後に津波が襲う。津波は3回に及び、宮殿や教会、政府の建物は倒壊しこの都市に壊滅的な打撃を与えた。津波にさらわれた者、火災で灰になってしまった者、さらに、重傷を負いそのまま回復しなかった者など、推定死亡者はリスボン市民のおよそ1割の2万5千人。幸い地震が起こった時に国王はリスボンにはいなった。首都再建にあたったのは国王の命を受けた宰相カルヴァーリョ。災害はファナティズムに火をつける。→2024/04/11

みねたか@

32
フェルナンド・ペソアの著作で何度もふれられていたリスボン地震。震災がリスボンの街の姿を一変させるほど激烈なものであったことを改めて知る。また、本書は復興の指揮をとったカルヴァーリョという極めて個性的な政治家の物語としても、当時のヨーロッパ諸国の関係性や、キリスト教信仰と教会のあり様を教えてくれえる書としてもとても興味深く読んだ。2024/04/08

ようはん

24
1755年にポルトガルの首都リスボンが壊滅状態に陥ったリスボン大地震について。時代と場所は違うとはいえ起きた事は過去の日本で起きた大地震を想起させる。最盛期を過ぎ退廃傾向にあった地震直前のポルトガルの状況は今の日本に何となく重なるが、将来起こりうると言われる南海トラフはリスボン大地震の悲劇を再現してしまうのだろうか。その時に本書の主人公ともいうべきカルヴァーリョ侯爵のような復興に尽力できる優れた人物が現れるのか不安である。2024/06/12

藤井宏

15
1755年ポルトガルの首都リスボンを大地震が襲う。地震とその直後の火災、津波の被害で少なく見積もっても当時25万人の人口の10人に1人が亡くなったされる。そのニュースは欧州諸国に広く知られる。その復興の先頭に立ったのが、後のポンバル侯爵、カルヴァーリョ。復興後の都市が国民に与える影響も考えつつ、耐震性も考慮した建築を進めた。国が栄えたり、衰退する背景も考察されていておもしろい。改革に抵抗する大貴族やイエズス会に対する彼の行いは残虐性きわまるものであり、権力の乱用として有罪とされたが、後に名誉回復となる。2024/01/08

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