評伝・河野裕子―たつぷりと真水を抱きて

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評伝・河野裕子―たつぷりと真水を抱きて

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560084557
  • NDC分類 911.162
  • Cコード C0095

出版社内容情報

母の作歌に対する根源的資質とは何だったのか。没後ますますその存在感が高まる歌人の生涯を、その息子が「家族」と「作品」から描く

人気歌人の燃えたぎる生涯

 平成の与謝野晶子とも譬えられ、恋や家族を高らかに歌い上げた歌人が他界したのは二〇〇五年八月。だが没後「河野裕子短歌賞」が創設されるなど、その評価はますます高まっている。
 夫の永田和宏や娘の永田紅などによって、家族の肖像は多く明らかになっているが、今回その息子が初めて母の生涯を丹念に描いた。
 誕生から幼少期を過ごした熊本時代、精神を病みながら作歌に目覚めた青春時代、永田和宏との出会いと結婚、多くの引っ越しを重ねながら子育てに勤しみ、短歌にも磨きがかかった時代、アメリカでの生活や晩年の闘病、そして最期……。
 これまで未発表だった日記や、関係者への取材を通して明らかになる歌人の日々から、著者は新たな作家像を浮かび上がらせる。精神を病みながらも、同姓だった無二の親友と築いた文学的信頼関係。しかも彼女の自死。また最期を看取りながら病床で一首一首を口述筆記した様子は、読む者を深い感動へと導いていく。
 対象への距離感と親子の親密感とがみごとに融合した、評伝文学の傑作である。

目次]
序章 振りむけばなくなりさうな
一章 ややこしく血筋からまる 郷里そして祖たち
二章 群れて遊びし記憶なく 君江との接点を求めて
三章 おまへがおれを眺めてた 古い日記から
四章 友とせしはひとり汝れのみ 女坂での約束
五章 私をさらつて行つてはくれぬか 恋人と
六章 ひとすぢ続く?のこゑ 横浜、東京
七章 ざんざんばらんと 若い家族
八章 母国語の母音ゆたかに アメリカへ
九章 しつかりと飯を食はせて 「コスモス」から「塔」
十章 ひとつ家に寝起きしてゐし日のことを 母と私
十一章 さみしくてあたたかかりき そして……
あとがき
河野裕子略年譜

【著者紹介】
昭和48年滋賀県生まれ。昭和63年「塔」短歌会に入会。同志社大学文学部英文学科卒業。釣の友社入社。平成11年、同社倒産により失職。平成13年、出版社・青磁社を立ち上げ、同代表。歌集に『1/125秒』(現代歌人集会賞)『湖をさがす』。現在「塔」短歌会選者。

内容説明

母の根源的資質とは何だったのか。没後さらに存在感高まる歌人の生涯を、その息子が「家族」と「作品」から描く。

目次

振りむけばなくなりさうな
ややこしく血筋からまる―郷里そして祖たち
群れて遊びし記憶なく―君江との接点を求めて
おまへがおれを眺めてた―古い日記から
友とせしはひとり汝れのみ―女坂での約束
私をさらつて行つてはくれぬか―恋人と
ひとすぢ続く蝉のこゑ―横浜、東京
ざんざんばらんと―若い家族
母国語の母音ゆたかに―アメリカへ
しつかりと飯を食はせて―「コスモス」から「塔」
ひとつ家に寝起きしてゐし日のことを―母と私
さみしくてあたたかかりき―そして…

著者等紹介

永田淳[ナガタジュン]
昭和48年滋賀県生まれ。昭和63年「塔」短歌会に入会。同志社大学文学部英文学科卒業。釣の友社入社。平成11年、同社倒産により失職。平成13年、出版社・青磁社を立ち上げ、同代表。歌集に『1/125秒』(現代歌人集会賞)他。現在「塔」短歌会選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

14
64歳で亡くなった歌人、河野裕子さんの生涯を息子永田淳さんが綴った一冊。少女の頃から生一本で早くに才能を現した河野さんの生い立ちと結婚、子育て、アメリカ生活、輝かしい受賞歴、闘病などが身内でなければ書けない親密さで描かれる。病を得てからの錯乱ぶりは読んでいても苦しいが、巨大な芸術的才能を持つ人はその反作用としてこうした面があるのではと思わされた。義父・嘉七との大喧嘩など貴重な証言が多い。短歌を通じてつながっていた永田一家の様子が良くわかる。「全身歌人」とでも呼びたい河野さんの短歌をさらに読みたくなった。2019/07/02

双海(ふたみ)

11
母の作歌に対する根源的資質とは何だったのか。没後ますますその存在感が高まる歌人の生涯を、その息子が「家族」と「作品」から描く。これまで未発表だった日記や、関係者への取材を通して明らかになる歌人の日々から、著者は新たな作家像を浮かび上がらせる。精神を病みながらも、同姓だった無二の親友と築いた文学的信頼関係。しかも彼女の自死。また最期を看取りながら病床で一首一首を口述筆記した様子は、読む者を深い感動へと導いていく。2024/03/09

てくてく

10
「評伝」が何を目指すものか理解していないため、タイトルについてはひっかかりがあるものの、歌人・河野裕子の一生を同じく歌人である息子の視線から描いたものであり、有名なエピソードの裏話や、知らなかった事柄、そして有名歌人の家族として生きることの楽しさと難しさと覚悟を感じる良い本であった。2020/01/24

はち

8
永田淳さんによる、母親、河野裕子さんの評伝。書きたいことが山ほどあるのだけれど、言葉を捕まえることができません。正直、読んでいて辛い部分もある作品ですが(特に裕子さんのガン発覚後は、知っていたとは言え本当に辛い。ここに出てくる人たちを知ってしまった今ではなおさら)普通の暮らしを生き抜いた歌人の姿を知ってもらいたいと思うのです。出来うるなら、歌を詠まない人にも届いて欲しいし、歌を詠むけど河野裕子さんの作品に触れたことのない人にも届いて欲しい。そして、裕子さんに私もお会いしたかった。塔にいると、五年経ってもそ2015/08/31

ゴロチビ

5
とても満ち足りた読後感だった。新聞書評で興味を持ったものの「河野裕子て誰?」レベル。読んで初めて『たとへば君…』の歌人か!と知る。永田和宏の伴侶でもあり、二人の子供も皆な歌人!そんな超エリート一家の物語かい、と思いつつも、語り手である息子の母への愛情がひしひし伝わって来て読み飽きなかった。暗い話は避けているんだろうな、と思い始めた終盤、そうでは無いことを知る。息子の失職、癌闘病と精神の変調、家族の危機が悲惨さそのままに描かれる。そしてそれも乗り越えて迎えた終焉。一人の歌人である母へ、息子からの愛の贈り物。2017/10/22

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