出版社内容情報
バルカン半島北辺に位置し黒海を臨むルーマニアは、近隣の多様な文化の影響を受け、近世以降は大国の政治的脅威に絶えずさらされてきた。本書は、今また少数民族問題など多くの難問に直面するこの「ラテン的」国家の貴重な通史である。訳者による、チャウシェスク独裁政権崩壊後の現代史補遺を付す。
内容説明
バルカン半島北辺に位置し黒海を臨むルーマニアは、近隣の多様な文化の影響を受け、近世以降は大国の政治的脅威に絶えずさらされてきた。本書は、今また少数民族問題など難問に直面するこの「ラテン的」国家の貴重な通史である。訳者による、チャウシェスク独裁政権崩壊後の現代史補遺を付す。
目次
第１章 ルーマニア人の起源から近代初頭まで
第２章 十九世紀前半における民族のたたかい
第３章 合同公国とルーマニア王国。トランシルヴァニア問題
第４章 第一次世界大戦と大ルーマニアの形成
第５章 ヴェルサイユ体制下のヨーロッパにおける大ルーマニア
第６章 第二次世界大戦の嵐の中で
第７章 人民民主主義から社会主義ルーマニアへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cybermiso
2
19世紀-20世紀以降の部分は政党などの記述が主で読みにくい。全体的に教科書的で難しいが、それでもルーマニア史に主軸を置いた日本語の本は珍しいため貴重に感じる。特に、18世紀以前の各地方（ワラキア、トランシルバニア、モルダビア）の話や、ルーマニア人のルーツ（古代ダキア人、この地方で稀なラテン系民族）は、ためになった。チャウシェスクの記述も興味深い。2018/01/09
鍵窪錠太郎
1
率直に言って訳が分からない。というより、ルーマニアや東欧、周りの大国との関係や近世から近代にかけての欧州の家の概念を理解していないと理解することが厳しいという印象。それにしても朝鮮もそうだけれど、大国の利害に挟まれる地域や、人種、言語(、場合によっては宗教)が入り乱れる地域の難しさを感じた。2016/11/27
たつみ
1
ハンガリーとの歴史的な確執（トランシルヴァニア問題）。WW2での境遇が酷い。ヴェルサイユ体制下フランスの手綱が緩んで第三帝国とロシア（ソ連）の綱引きが始まる。赤軍はトランシルヴァニア北部を約束し、ナチスドイツはベッサラビア北部とブコヴィナを餌にするけど、どちらも絵に描いた餅。その間にもブカレストは独に占領されて英米の空襲を受け、ソ連嫌いのアントネスクがクーデターで倒されて連合側の停戦を受け入れると、今度は行き掛けの駄賃に独の空襲を受け、対独戦に協力させられてソ連に物資を搾取される。踏んだり蹴ったり。2014/10/25
マサコサマ
1
ルーマニア旅行中に読みました。ブカレストの街では、「大きなことは善きこと」といった印象で、道路だの建物だのバスルームまでもがやたらに大きかった……！2012/01/13
うえ
0
歴史的にほとんど主権を認められずどっちつかずの国。第二次大戦でも1939年,ﾍﾞﾙﾘﾝの指示でｶﾘﾈｽｸ首相を射殺させられるがソ連に対するため「ドイツの支援に希望を託」す。が、仏降伏直後、ソ連にﾍﾞｯｻﾗﾋﾞｱとﾌﾞｺｳﾞｨﾅを併合させられる。ﾍﾞﾙﾘﾝは受諾するようルーマニアに勧告。イタリアに近いﾌｧｼｽﾄだったｱﾝﾄﾈｽｸは「イタリアが戦争から離脱すればルーマニアもそれに従うだろうと進言」。ドイツの物資を「西部国境に差し止め」ドイツのｽﾀｰﾘﾝｸﾞﾗｰﾄﾞ敗北の要因に。敗戦後はソ連もイギリスも冷淡に。2014/05/21
