マロウンは死ぬ

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マロウンは死ぬ

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  • サイズ B6判/ページ数 282p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560043479
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

放浪の生涯のあと死の床に横たわるマロウンは、所有物の品目と数編の物語を書きつける。彼の生と物語の生は徐々に収斂されていき、ついに……。凄絶なユーモアが読者を奇妙な体験に引きずり込む「小説についての小説」。グロテスクでコミカルな小説三部作の第2部。

内容説明

死ぬほど退屈なままベットに横たわり、マロウンは、死ぬまで物語をでっちあげ続ける…。グロテスクでコミカルな小説3部作の第2部。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

128
これは再読するとさらに味わえる構造の小説だ。死を迎えようとしているマウロンがベットの上で回想する。回想であるから、彼自身のいろいろな年代の話とも読めるし、彼を少年を遠くから見つめる視線にとってかわっているようにも思える。あまりに書くと自分の書いたものにとらわれそうで、あまり時間をおかずに再読したい。2016/07/14

扉のこちら側

77
2016年166冊め。【141/G1000】死を予感している老人マロウンの手記という構造で、自分の現状と財産目録、物語が書かれている。この物語の部分はサポスカットという少年の話なのだが、途中で中断され再開されると少年が老人になっており、名前もマックマンに変わっている。浮浪者として施設に入って看護師と恋におりボートで出かけるところで、マロウン老人が亡くなったのだろう、マックマンの物語とともに『マロウンは死ぬ』の方も唐突に終わってしまう。3部作の1作目『モロイ』よりは文体は読みやすいけれど、(続2016/03/13

長谷川透

24
狂った語り手、いや狂って行く語り手か、否、語り手はひょっとすると冷静で優れた知性を持つ人間かもしれぬ。老いによる強烈な死の臭いがする一方で、力強い精力の漲りが挟み込まれ、衰弱衰退を経た死の後の復活さえも示唆するようである。本来は共存し得ぬ二つのものが二律背反的に共存している実に恐ろしく興味深い文章である。AはBであり、Bではない、だからこそAである。この命題のパラドックスをただ只管に書き続けるという、常識では考えられない方法で、ベケットは、マロウンは、命題を証明するのではなく、命題に一層の力を宿している。2013/10/23

zirou1984

24
三部作第二弾。マロウンはもはや死を待つばかりの老後の身であり、自らの生を確認するため、もしくは退屈しのぎの為にと練習帳に己の生涯と思い付きをを延々と書き続ける。つまり小説内小説なのだが、そこにこだわる必要性はさして無いのかもしれない。もはや終わりは近いのだという事実を確認しながら紡がれる思弁は幾度となく弛緩と緊張を繰り返し、生への執着は性への憧憬と結びつく。実存や不条理といった現代的な主題すらもここでは無効化され、剥き出しの生がここにはどろりと溶け出している様だ。それは最後に気体の様に蒸発し、消えていく。2013/05/05

しゅん

19
生産性や何かの役に立つこと、社会的に大事とされているものを無視して、何の役にも立たずに生きる意味を読みながら考えた。死にゆく男、マロウンが創作とも自伝とも判断がつかない文章を書き続けている。「これはひどい」「居眠りをしてしまった」などセルフツッコミや実況中継が挟まれ、迂回を重ねながら、小説はやがて二重の死を迎える。精神錯乱者の着ている外套のボタンを執拗に描写したり、部屋の窓から見えるセックスの様子を観察したりを書き連ねる中で顔を出す、強靭な無為の意志。生きていることなど無駄で一向に構わないと、体で感じる。2017/07/19

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