内容説明
人生を支配する苛酷な運命と、人間の自由意志の問題を詩情豊かに描く名作の数々。現代演劇の原点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
27
甘えん坊で、わがままで、人の言うことを聞かず、偉い人から黙れと言われても黙らず、たとえその報いが死であっても、欲することを欲するままに行う。それがヴィシー政権下でギリシャ悲劇を翻案した著者の描くアンチゴーヌ像だった。観客はクレオン王をペタン元帥に重ねた人が多いというし、著者のねらいもそこだったのかもしれないが、その文脈を離れても、〈わきまえない女〉アンチゴーヌの輝きは失せない。放置された遺体の死臭や土で汚れた手などの描写が迫真的だった。原書で読んだのだが、検索しても出てこないのでこちらで登録。2024/03/23
のい
0
「ひばり」目当て。ひばりのみ読了。面白かった…!英軍の思惑、当時の仏にとっても手に負えなくなったジャンヌ・ダルクが聡明な眼差しで裁判に答えていく。火炙りを免れたと思いきやジャンヌをお返ししますと火炙りを望み飛び出していく。しかしラストシーンはいつも戴冠式でなくてはいけない、で静かに幕。2012/02/21
taverna77
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蒼井優、生瀬勝久などの出演する演劇「アンチゴーヌ」に合わせて読みました。舞台も良かったですが、原作も素晴らしかったです。明暗のコントラストからの人間の深い心情が浮き彫りになります。ギリシャ悲劇の奥行をうかがい知れる作品。「ひばり」「唖のユリュミュス」も秀作。2018/01/17