内容説明
世界各地の少数言語の「生態」を幅広くとりあげ、ことばの「死」と「再生」の過程を明快に分析しながら、言語帝国主義に警鐘を鳴らす画期的な論考。
目次
第1部 言語と生命(言語、生命の供給源;生物種としての言語;ラングとパロール ほか)
第2部 言語と死(死語とはなにか;言語の消滅の道;言語消滅の原因の数々 ほか)
第3部 言語の再生(ヘブライ語:生から死へ、死から生へ;言語の再生と新生、クレオール語、言語育成)
著者等紹介
糟谷啓介[カスヤケイスケ]
1955年生。1987年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会言語学・言語思想史専攻。一橋大学大学院言語社会研究科教授
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感想・レビュー
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aiaimo`olelo
23
2週間に1つ、世界のどこかで言語が消えている。言語も生き物。食うか、食われるか、だ。そして、そんな言語の運命は社会政策の掌に握られている。 「最後の話者」は世界のあちこちに点在するように増えてきた。そんな最後の話者の、脳の劣化は驚くほど早い。 だからといって保護を施策すると、どこかに無理を生じる。保護される側も苦しいのだ。生きにくくなった故に自然の摂理で絶滅に向かっているところを、保護され「生きろ」と強いられているトキだってほんとうは苦しいかもしれない。このまま消滅させてくれと願っているかもしれない。2020/11/19
びっぐすとん
11
図書館本。TVで話者が一人しかいない言語を話す男性(他の言語は話せない)の番組を観て借りてみたが専門的すぎた!理解出来る部分の拾い読みだが、現在言語の消滅スピードは著しく、今世紀の終わりには大部分が消滅するかもしれず、言語の多様性の喪失は文化の多様性の喪失に繋がるそうだ。文字も資料もない言語は存続も復活も出来ない。英語に劣等感がありバイリンガルに憧れても、日本語を大事に思っているし消滅なんて許さない。英語が唯一の言語になっても皆が分かりあえる訳はなく、バベルの塔は完成しないだろう。言葉は弱肉強食なのだ。2018/12/18