内容説明
陸上基地から飛び立ち、その長大な航続力で爆撃または雷撃任務を遂行する、日本海軍独自の思想から生まれたのが「陸上攻撃機」、略して「陸攻」であった。日本海軍の用語によれば、「爆撃機」が単に爆撃任務を行うだけなのに対し、「攻撃機」は爆撃だけでなく、航空魚雷による雷撃も行う航空機のことを意味した。防弾装備をあえて犠牲にして、長大な航続力を得た三菱一式陸上攻撃機は、太平洋戦争開戦当初のマレー沖海戦で、イギリス艦隊の巡洋戦艦レパルスを撃沈。その後はガダルカナル、中部太平洋、マリアナ諸島、そして沖縄攻防戦に至るまで、多くの困難な任務に参加した。その中には特攻兵器桜花の母機となって飛び立った陸攻も含まれている。一式陸上攻撃機の開発から終焉まで、その壮烈な戦歴を追う。
目次
1章 「陸上攻撃機―陸攻」の概念
2章 運用の開始
3章 研ぎ澄まされた刃
4章 不運な部隊
5章 挫折した目論見
6章 ガダルカナル―陸攻の墓場
7章 「い」号作戦
8章 神雷特別攻撃隊
著者等紹介
多賀谷修牟[タガヤオサム]
元海軍航空技術士官を父にもち、主にスミソニアン博物館向けに、日本機に関する多くの著作を執筆している。多年にわたりイギリスのサリー州に住んでいたが、最近生まれ故郷であるカリフォルニアに戻った。現在、連合国のコードネームでヴァルと呼ばれた愛知の九九式艦上爆撃機一一型についての執筆を進めている
小林昇[コバヤシノボル]
1957年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。編集者として書籍・雑誌の編集を行う傍ら、自らも旧軍の航空史研究を行う
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