図解血球 生理・病態・臨床<br> 赤血球

図解血球 生理・病態・臨床
赤血球

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  • サイズ B5判/ページ数 155p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498025547
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 序  近年,血液学領域の基礎的並びに臨床的研究の進歩はまことにめざましいものがある。造血におけるサイトカインの役割りや遺伝子レベルでの発癌機構の解析がすすむにつれ,さまざまな血液疾患の成因と病態生理の全貌が次第に明らかになろうとしている。このような基礎的研究の成果は,いち早く血液病の診療に取り入れられ,診断と治療のうえで新しい展開があいついでいる。  血液学に関心を抱く医学生と研修医,そして若手医師を対象に,血液疾患の成因や病態生理に関する日進月歩の知見がどのようにして臨床へ導入されていくのか,できるだけ図解的にわかり易く解説し,新しい血液学の基本と方向を理解していただこうというのが本シリーズの目的である。そして,ハンディな書とするため3冊に分け,「赤血球」「白血球」「血小板 止血・凝固・線溶」に整理した。各巻の流れを(1)生理,(2)病態生理,(3)臨床の順序とし,内科学や血液学の普通の教科書と異なり,(1)と(2)に重点を置き,(3)については診断と治療の概略を解説する程度にとどめた。  血球3系統の観点から血液疾患を3つのカテゴリーに分けて記述する方式は,以前から教科書でよく採用されてきた。しかし,赤血球の病気,白血球の病気といった分類は必ずしも当をえたものではない。たとえば再生不良性貧血では血球3系統のすべてが減少し,逆に,真性赤血球増加症ではすべてが増加する。今日の考えでは,どちらも造血幹細胞の異常に起因する疾患であるから,複数の血球系統に異常が発現するのは当然で,これをあえて赤血球の疾患と分類することには異論が出よう。見方によっては白血球や血小板のところで扱ってもよく,あるいは,造血幹細胞異常という項目を別に設けるべきかもしれない。本シリーズでは,3分冊への配分は慣習的な方式を踏襲したが,全体としてできるだけ重複を避け,書き落としがないよう配慮をしたつもりである。  執筆陣には,血液病の専門医であると同時に,血液学領域で最先端の研究に従事しておいでの方々をお願いした。ご多忙中,執筆のため快く貴重な時間をお割きいただいたことに深甚の謝意を表する。併せて,本書の制作に当たられた中外医学社の担当者とも厚くお礼を申し上げる。 1994年1月 編集者一同    《目次》 目次 第I部 骨髄 1 造血の場 A.骨髄の発生と加齢による変化 〈野村武夫〉3 1.発生 3 2.加齢による変化 3 B.骨髄の構造 〈野村武夫〉5 1.血管系 5 2.造血組織 7 2 造血の機構と調節 A.幹細胞とその環境 〈野村武夫〉8 1.幹細胞と前駆細胞 8 2.骨髄ストローマ(支持組織) 9 B.血球母細胞の増殖と成熟 〈野村武夫〉10 C.造血の調節 〈野村武夫〉12 1.造血因子とその産生 12 2.造血因子の作用機序 13 a.多様性と重複性 13 b.作用点 14 第II部 赤血球 1 赤血球の生理 A.赤血球のライフサイクル 〈浦部晶夫〉19 1.造血幹細胞から赤血球へ 19 2.エリスロポエチンの作用 21 3.ヘモグロビンの生合成 22 a.ヘモグロビンの構造 22 b.発生に伴うヘモグロビン産生の変化 22 c.ヘム合成 23 4.赤血球の老化と崩壊 27 5.赤血球生成の調節 28 B.赤血球の形態と機能 〈八幡義人〉 30 1.赤血球の形態 30 a.赤血球の形態の変化 30 b.その他の奇形赤血球症 33 2.赤血球膜の構造と機能 34 a.赤血球膜の構造 34 b.赤血球膜の組成と機能 34 1)膜蛋白の組成と機能 35 2)膜脂質 42 3)膜輸送能 45 4)血液型と赤血球膜 46 5)赤血球膜に存在するレセプターなどの生物活性 47 3.赤血球の代謝 47 a.解糖系 48 1)解糖系の全体像 48 2)解糖系酵素の分子生化学 51 b.酸化還元系 53 1)五炭糖リン酸化回路 53 2)グルタチオン代謝 54 3)メトヘモグロビンの還元 55 4)TOUSTER回路 57 5)分子酸化の防御機構としてのsuperoxide dismutase 57 6)膜酵素としてのprotein kinase 58 7)核酸代謝関連系 59 4.ヘモグロビンの機能 61 a.酸素親和性 62 b.Hbサブユニットの協同作用 62 c.BOHR効果 64 d.CO2との結合 64 e.2,3-DPGの作用 65 f.Hb分子の高次構造とHb機能 66 2 赤血球の病態生理 A.赤血球生成の異常 〈野村武夫〉68 1.幹細胞コンパートメントの異常 68 a.全能性または多能性幹細胞の異常 68 1)再生不良性貧血aplastic anemia 69 2)真性赤血球増加症(真性多血症)polycythemia vera 74 b.赤血球系前駆細胞の異常 75 1)急性赤芽球癆 75 2)DIAMOND-BLACKFAN貧血 76 3)後天性慢性赤芽球癆 77 2.エリスロポエチンの過不足 77 a.エリスロポエチンの欠乏 77 b.エリスロポエチンの過剰 78 3.赤芽球コンパートメントの異常 79 a.増殖異常 DNA合成の障害 79 1)巨赤芽球性貧血megaloblastic anemia 79 2)ビタミンB12欠乏症 80 3)葉酸欠乏症 82 b.成熟異常 ヘモグロビン合成の障害 83 1)ヘム合成の異常 83 2)グロビン合成の異常 86 B.赤血球寿命の短縮(溶血) 〈松本 昇〉89 1.溶血と溶血性貧血 89 2.赤血球はどこで壊れるか 91 a.血管内溶血 91 b.血管外溶血 92 1)脾赤色髄の微小循環と濾過機能 92 2)ヘモグロビンの分解とビリルビン代謝 94 3.赤血球はなぜ壊れるか 96 a.赤血球自身の欠陥 96 1)細胞膜の異常 97 2)酸素の異常 100 3)ヘモグロビンの異常 102 b.赤血球の環境異常 103 1)血漿蛋白の異常 免疫機序による溶血 103 2)血漿脂質の異常 105 3)薬剤による溶血 106 4)機械的障害による溶血 107 5)高温による溶血 108 4.まとめ 108 3 赤血球の臨床 A.貧血anemia 〈野村武夫〉 110 1.概念 110 a.総量か,濃度か 110 b.赤血球か,ヘモグロビンか 111 c.正常値とは 112 1)正常値の求め方 112 2)性差と年齢の影響 112 3)測定条件 113 4)WHOの基準 113 2.発生機序 114 a.赤血球の生成と崩壊 114 b.赤血球産生数量の減少 115 1)幹細胞の異常 115 2)赤芽球の増殖,成熟障害 115 c.赤血球消失数量の増大 115 1)出血 115 2)溶血 116 3.分類 116 a.発生機序からみた分類 116 b.形態学的分類 117 4.貧血に対する生体の反応 118 a.循環調節 118 b.ヘモグロビンの酸素親和性低下 119 c.赤血球生成亢進 119 5.症候論 119 a.貧血患者の愁訴 119 b.貧血の身体所見 120 1)バイタルサイン 121 2)皮膚 122 3)頭部・顔面 123 4)頸部 123 5)胸部 124 6)腹部 124 7)神経系 124 6.臨床検査 125 a.血液検査(血算) 125 1)赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値 125 2)網赤血球数 125 3)白血球数・血小板数 125 4)血液塗抹標本検査 126 b.その他の一般臨床検査 126 1)血清生化学 126 2)検尿 127 c.骨髄検査 127 d.検査のすすめ方 127 1)悪性貧血 127 2)溶血性貧血 128 7.診断への手順 130 a.貧血の有無の決定 131 b.貧血症相互の鑑別 131 c.診断基準 132 8.治療のあらまし 132 a.原因の除去 132 b.薬物療法 132 1)鉄とビタミン類 132 2)ステロイドホルモン 135 3)エリスロポエチン 135 4)免疫抑制療法 136 c.摘脾 137 d.輸血 137 e.骨髄移植 138 B.赤血球増加症 erythrocytosis(多血症polycythemia) 〈野村武夫〉140 1.概念 140 2.分類 141 a.真性赤血球増加症(真性多血症) 141 b.二次性赤血球増加症 141 c.ストレス赤血球増加症 143 3.症候論 143 4.診断 143 a.真性赤血球増加症 143 b.二次性赤血球増加症 143 c.ストレス赤血球増加症 144 5.治療 145 a.真性赤血球増加症 145 1)瀉血 145 2)骨髄抑制療法 145 3)合併症の治療 146 b.二次性赤血球増加症 147 c.ストレス赤血球増加症 147 略語一覧 149 索引 151