内容説明
華やかな饗宴、当意即妙の話術、そしてそこで詠われる艶やかな詩歌の数々…歓楽と愛憎、欲望と打算が渦巻く遊廓とそこに生きる女たち、そして客として訪れる男たちが生み、育んだ中国文学の底流。
目次
第1章 妓女の起こり
第2章 妓女の技芸と日常
第3章 名妓と文人たち
第4章 妓女と詩歌
第5章 妓館と小説・戯曲
第6章 新しい文化と妓女・妓館
感想・レビュー
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もち
3
初めは、男性中心の、女性を飾りかなにかのように扱う面が嫌に思えてつらかったが、読み進めるうち、妓女と関わりのある詩のうつくしさからか、今度はおもしろくてたまらなくなった。妓女の王蘇蘇が、妓館を仙境になぞらえて悦に入った李標をやりこめて、俗人を追い返せと詩を書いたのは痛快だった。中国の作品は、日本と比べてやはり毒が少しきいているように思うが、言葉によるものは読んでいて愉しい。李商隠の詩など、恋愛詩をもっと読んでみたいと思う。2015/09/17
小竹
1
「古来女子は才無きを徳とする」という言葉通りと云うべきか、中国文学界は長いことほぼ男性の独擅場だったという。しかしその裏には、詩人や戯作者を支えインスピレーションの源ともなった妓女たちの世界があった。本書はその陰の立役者に光を当てる。歩き巫女/聖なる遊女としての源流から、妓女たちの出自に生活、外見だけでなく歌舞や詩歌、話術による評価といった妓女そのものの説明から、彼女たちが詩歌/章回小説に残した影響を具体例を引いて解説していく。これは一面に過ぎないのかもしれないが、彼女たちは逞しく、悲壮感はない。2018/07/01
かみや
0
前半は知識、後半は解釈。詩は解釈が多々あるので他の本も読んでみたいところ。でも妓女の華やかな表舞台と陰惨な裏舞台がこういうものか…と知るにはとても良い本でした。2009/09/24