中国の歴史認識はどう作られたのか

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  • サイズ B6判/ページ数 358,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784492212165
  • NDC分類 319.22
  • Cコード C3031

出版社内容情報

なぜ日本人はかくも憎まれるのか? 在米中国人研究者が、「歴史の記憶」形成の政治利用の歴史に着目して分析した本格的研究。

なぜ日本人はかくも憎まれるのか?
なぜ中国の若者にこれほどまで愛国主義が根付いているのか?
なぜ天安門事件以降、中国共産党政権は国民の支持を回復したのか?
なぜ中国はアメリカと日本に対して、これまでより強気の主張をするようになったのか?

本書では、天安門事件と冷戦終結を経た今日の中国の政治的変遷、大衆心理、外交政策を説明する上で、「歴史的記憶」が現代中国の国民的なアイデンティティの形成にどのような役割を果たしているか、また政治的にどのように利用されてきたのかを、中国育ちの在米国際政治学者が、膨大な資料から解き明かす。中国の公文書、スピーチ、インタビュー、歴史教科書、歌など幅広い資料から分析した気鋭の研究。

国際関係学会[ISA]イェール・ファーガソン賞受賞Never Forget National Humiliation: Historical Memory in Chinese Politics and Foreign Relationsの待望の邦訳!


【レビュー】
「現代中国の極めて重大な一面の貴重かつ活気あふれる解説である」
『フィナンシャル・タイムズ』

「タイムリーで、しっかりした研究調査に基づいており、
中国のナショナリズム研究の画期的な成果といえよう」
H-ネット・レビューズ

「毛沢東以後のナショナリズムと中国の外交政策の鮮やかかつ精緻な研究」
『チャイナ・クォータリー』

【本書「序章」より】
……本書のテーマは「歴史的記憶」であって「歴史」ではないことを明記しておきたい――歴史上何が実際に起きたのかについての本ではなく、中国人が「歴史」というものをどう理解してきたか、そして政治的支配層が「歴史」をどう作ってきたかを探るのである。集合的な記憶は、実際の出来事や事実に基づくのではなく、想像の産物であったり、人為的に構築されたものであることがきわめて多い。実際の過去の出来事と、それらに関する作られた言説――その違いを意識しておかなければ、両者のギャップを埋めることもできるはずがない。

序章 「戦車男」から愛国主義者へ 
第1章 選び取られた栄光、選び取られたトラウマ
第2章 歴史的記憶、アイデンティティ、政治
第3章 「中華帝国」から国民国家へ――国恥と国家建設
第4章 勝者から敗者へ――愛国主義教育キャンペーン 
第5章 「革命の前衛組織」から愛国主義の政党へ――中国共産党の再構築
第6章 震災からオリンピックへ――新たなトラウマ、新たな栄光 
第7章 記憶、危機、外交
第8章 記憶、教科書、そして中国と日本の和解 
第9章 記憶、愛国主義、そして中国の台頭

【著者紹介】
汪 錚(ワン ジョン)
シートンホール大学ジョン・C・ホワイトヘッド外交国際関係大学院准教授
中国雲南省昆明出身。アメリカのシートンホール大学ジョン・C・ホワイトヘッド外交国際関係大学院准教授。北京大学大学院修了後、アメリカのジョージ・メイソン大学にて博士号を取得。大学で教鞭をとると同時に、全米米中関係委員会委員などとして米中関係、東アジアの国際関係などを幅広く研究し、論じている。1990年代には中国の政府系シンクタンクで国際関係論、平和論、安全保障問題などを研究したこともある。

内容説明

なぜ日本人はかくも憎まれるのか?中国人は「歴史」というものをどう理解してきたか、政治的支配層は「歴史」をどう作ってきたか。中国育ちの在米国際政治学者が、膨大な資料から解き明かす。国際関係学会(ISA)イェール・ファーガソン賞受賞。

目次

序章 「戦車男」から愛国主義者へ
第1章 選び取られた栄光、選び取られたトラウマ
第2章 歴史的記憶、アイデンティティ、政治
第3章 「中華帝国」から国民国家へ―国恥と国家建設
第4章 勝者から敗者へ―愛国主義教育キャンペーン
第5章 「革命の前衛組織」から愛国主義の政党へ―中国共産党の再構築
第6章 震災からオリンピックへ―新たなトラウマ、新たな栄光
第7章 記憶、危機、外交
第8章 記憶、教科書、そして中国と日本の和解
第9章 記憶、愛国主義、そして中国の台頭

著者等紹介

ジョン,ワン[ジョン,ワン]
汪錚。中国雲南省昆明出身。アメリカのシートンホール大学ジョン・C・ホワイトヘッド外交国際関係大学院准教授。北京大学大学院修了後、アメリカのジョージ・メイソン大学にて博士号を取得。大学で教鞭をとると同時に、全米米中関係委員会委員などとして米中関係、東アジアの国際関係などを幅広く研究し、論じている。1990年代には中国の政府系シンクタンクで国際関係論、平和論、安全保障問題などを研究したこともある

伊藤真[イトウマコト]
時事問題、海外事情、現代史などのノンフィクションを中心に翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

73
中国は20世紀初頭にやっと国民国家になったので、それまではナショナリズム自体なかった。 中国の愛国キャンペーン(+反日)は1989年天安門事件以来。 まあ、そーだろね。 大体予想した範囲の内容でした。  2022/05/20

Isamash

28
北京大大学院卒業で米国シートンホール大准教授ワンジョン2012年出版著者訳本。ソ連崩壊もあり共産党政権維持の為2004年10月政府通知より始まった愛国主義教育が、世論形成、政策、外交、海外留学生含む若い人間のものの見方等にとても大きな影響を与えていることを分析した著書。愛国主義教育の要は、世界の中心であった優れた文明国中国がアヘン戦争以後100年いかに日本及び欧米に虐げられたかを強調する歴史観。著者の見立ては正しいとは思ったが大日本帝国同様の非科学的信仰的歴史感は周囲巻き込む滅亡への道に思え危惧を覚える。2023/07/04

Miyoshi Hirotaka

24
二大独裁者が戦った独ソ戦争で勝ち残った共産主義は、一時、世界を席巻したが、内部対立を経てソ連は崩壊。イデオロギーの寿命は70年にも満たなかった。中国共産党が唱えるナラティブ(物語)はその代替。東亜の病夫だった時代に西洋列強や日本により蹂躙されたことを国恥とし、イデオロギーに替わる国民アイデンティティを築くもの。臥薪嘗胆の現代版。ところが、外の目からすると、物語に出てくることは、別々に起こったものを「恥辱の一世紀」に無理に結びつけているに過ぎない。歴史のトラウマを起点にする作文もいずれはネタ切れで破綻する。2021/05/30

杜のカラス

17
いま日経新聞で「ふりさけみれば」阿部仲麻呂の話である。いままさに帰国寸前ではあるが、国から唐への残留、日本と唐との関係保持を命じられている。中国は、日本にとって、どれほど影響を受けたか、今の中国が、今後そうするか、いろいろ考えさせらた本であった。日本が未開のとき、すでに完全な文明を持っていた。東夷南蛮である。今も中国とともに、生きていく。米欧は遠い。どうするのか日本。中国と並んで進む、中国は余りに大きい。14億の人間、多様な人種と民族、日本は1億2千万、対等には少ない。がんばろう日本。2021/10/26

Sato

15
「蒼穹の昴」「中原の虹」の舞台となった時代、アヘン戦争あたりからの100年は中国では国恥と呼ばれてるそうです。この本はタイトルにもある通り現代の中国人の歴史認識は共産党によっていかにして作られていったかを解説している。太古の栄光と国恥を外交で使い分け、歴史教育と記念碑や博物館で国民の愛国心を煽り立てる。そもそもの中華思想というものは、漢民族のみならず、中原の支配者であれば満州族でも受け入れる。中国こそ世界の中心だが外部の人間でも中国人になってしまえば受け入れますよみたいな感覚もあるらしい。なかなか2016/02/19

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