内容説明
仁科秘女自選歌集・夕潮―高校生のころ異色の閨秀歌人に非常な感銘を受けた鹿沼未知は、時を経て後ればせの新婚旅行に訪れた伊豆の島で、当の詠み人に巡りあう。心惹かれるままに、親友瑠璃子の謎めいた死や夫の不自然な素振りなど、島へ来てからの屈託を吐露する未知。その歌人と夫を海辺で見た、あの光景は…。表題作のほか晩年の短編「壁の男」、遺稿「黄〓楼」を同時収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanamori
2
☆☆☆★2020/02/12
来古
1
表題作の他は「壁の男」「黄鵩楼」表題作は犯行動機がよく解らなかったので物足りなさを感じた。「黄鵩楼」は戦時中の台湾を舞台にした作品だが、著者の死により未完となった作品。2015/04/19
wm_09
1
新婚旅行の埋め合わせに、と旅立った先で「私」は、海の怪物や、妖艶な歌人との目くるめく出会いに翻弄されていく。夫さえも信じられなくなった「私」の行く末は。現代的な雰囲気から、突如として幻想の要素が入ってくるのが楽しくて仕方ない。一人の女性の心理が揺れ動くさまも、精緻に描かれていて、小説の完成度に貢献している。同時収録された未完遺稿は、翻訳探偵小説風味。(ローウェル嬢)2010/05/17
渋谷英男
0
これは心理小説だ。☆32015/08/14