感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
95
イギリスの匂いのする探偵ミステリーだ。主人公の探偵が純情な青年であるところが、同ジャンルのミステリーと違い、大事件の発生を告げる冒頭からは考えられない微笑ましささえある。この作品は、「アクロイド殺人事件」や「Yの悲劇」「黄色い部屋の謎」など、江戸川乱歩が選んだ10作の黄金時代ミステリーの一つ。乱歩の紹介の言葉はこうだ「この着想は、現実では全く不可能と言ってもいい大手品ですが、これをともかくも可能としている思い付きに最も感心したのです。他の探偵小説に一寸例がない。独創的といってもいいと思います」2015/08/02
扉のこちら側
80
2016年908冊め。【222/G1000】ミステリには明るくないので「最後の事件ということはシリーズものの最終巻か」と読み始めたら、処女作にして「最後の事件」とな。遺体の状況とか肝心な描写が抜けているのが、まだミステリというジャンルが熟成しきっていない時代らしい。どちらかというと登場人物のキャラクター的魅力で読ませる作風だと思う。ミステリ×恋愛というのも、この時代としては珍しかったのではなかろうか。2016/10/28
きのこ
27
久々に古典の名作を。近代物に慣れた身にはかえって新鮮で一字一句貪るように読んでしまった。トレントが犯人とおぼしき女性に恋するところなんぞ「タクシードライバーの推理日誌」を彷彿とさせます(笑) 最終盤の犯人の激白シーンは迫力満点。ああ、面白かった。2021/09/27
kochi
25
米国金融界の大物が英国の片田舎で射殺され、素人探偵として著名な画家のトレントは新聞社の依頼を受けて、謎解きのために現地英にむかう。そこでトレントを待ち受けていたのは、黒衣の女との運命的な出会い… 物語半ばで探偵の完全な推理が披露されるという意表をつく構成に、怒涛の後半の展開、常識的な探偵の登場(!)と傑作の誉れ高い本作の、昔読んだ時の印象が薄いのは、明るくておしゃべりな主人公の性格が嫌だったのか、それとも挫折の物語だからか?!歳をとると両方とも受け入れられるから不思議f^_^;2017/05/02
Ryuko
22
ある富豪の死。画家の探偵トレントが捜査に乗り出す。美しい未亡人との出会いのシーンが美しい。2015/10/31