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方形の円―偽説・都市生成論

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  • サイズ 46判/ページ数 213p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016722
  • NDC分類 979.1
  • Cコード C0097

出版社内容情報

「いくつかの想像上の都市の短い叙述で本を一冊作るというアイデア。その中に5000年の都市史の偉大と悲劇を圧縮する」――ルーマニアの鬼才が描き出す、「憧憬市(アラパバード)」「学芸市(ムセーウム)」「憂愁市(シヌルビア)」ほか36の架空都市の創造と崩壊の歴史。カルヴィーノ『見えない都市』に比肩する超現実的幻想小説集。アーシュラ・K・ル=グィンによる英語版序文を併載。

内容説明

戦火、崩壊と再建、そして無人化と再定住を数えること7×7=49回にわたり繰り返した、数万の暗い部屋を持つアーチ状の7層のフロアからなる、ミツバチの巣のような外観をしたバビロンならぬヴァヴィロン(格差市)。地上を縦横に踏破し、あらゆる信仰とあらゆる都市を見知った人々が理想都市を建てるにふさわしい地を求めてさまよう中で、一瞬だけ地平線に見出したアラパバード(憧憬市)。起点も終点もなく、天上と地下に永遠に続いていく超巨大建築都市ヴァーティシティ(垂直市)…。カルヴィーノ『見えない都市』と同時期に構想され、SFとファンタジーの女王アーシュラ・K・ル=グインが愛し自ら英訳を手がけた、ルーマニアの鬼才が描く想像上の都市についての36編。

著者等紹介

ササルマン,ギョルゲ[ササルマン,ギョルゲ] [S〓s〓rman,Gheorghe]
1941年ルーマニア、ブカレスト生まれ。現ドイツ在住。65年にイオン・ミンク建築学校を卒業し、「スクンテイア」紙で建築・都市計画のコラムを受け持つ。多数の小説、戯曲、ノンフィクション、建築史関係の著書がある

住谷春也[スミヤハルヤ]
ルーマニア文学の研究者、翻訳家。1931年群馬県生まれ。53年東京大学文学部卒業。86年から90年までルーマニアに在住し、その間にブカレスト大学文学部博士課程を修了する。85年のレブリャーヌ『大地への祈り』で日本翻訳家協会文学部門最優秀賞を受賞。2004年、ルーマニア文化功労コマンドール勲章受章。07年、ルーマニアのナサウド市より名誉市民の称号が贈られる。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

62
架空の都市やその歴史、そこに住む人々を描いた幻想掌編集。神話的なもの神秘的なものもあれば、短編として面白く読めるものもあり、なかには長編小説の設定として広がりを感じさせるものもあって、単に奇想的な架空の都市を羅列しただけではない楽しさがある。あのカルヴィーノの名作と比されるだけにハードな幻想文学。とても想像力を刺激される壮大な作品だった。日本ではあまりお目にかかれないルーマニア文学で、しかも専門家(エリアーデも訳している有名な方)が原典から訳してくれているのも非常に嬉しい。表紙も美しく充実した本。2019/06/22

ワッピー

49
ほの暗い回廊に展示されたトンボ玉のような36のミクロコスモス。極端な環境により発生した都市たちのあるものは激しく燃え、微かに光り、あるいはくすみ、あるいは消滅する。これこそアニメで表現するにふさわしいように感じます。原著が書かれたのは1969~71年、「プラハの春」が潰えた後、ルーマニアにも思想統制の嵐が押し寄せた頃で、様々な可能性を検討するだけで体制批判とされた恐るべき時代。「ここが都市のひとつなら、そろそろ滅ぶ頃合いだろうか」(酉島伝法)。SFと言わば言え、むしろダンセイニの鋼玉のような短編でした。2019/10/08

かわうそ

36
36の架空の都市を描いた作品集。思ってたよりSF成分強め。掌編ながら断片を切り取ったというより都市の物語になっているものが多く、印象としては「見えない都市」より「夢幻諸島から」に近い。お気に入りは「モートピア(モーター市)」、「コスモヴィア(宇宙市)」、「セレニア(月の都」、「ダヴァ(山塞市)」などなど。2019/08/27

山田太郎

36
ひとつひとつは短いけど、なかなか濃いので時間かかった。なんかこういう架空もの好きなんで楽しかった。考えるのたいへんそうだけど。ヨーロッパ的なのかなこういうって、あんまりアメリカ人書きそうな感じしないな、こんなちまちましたのは。表紙の絵がやたら好きだなと思った。2019/09/05

りー

36
36の架空の都市の盛衰を描いた短編…というよりは掌編集。ほとんどの都市が栄華の果てに皮肉な結果を迎えているあたり、神話の様な印象。それぞれの物語も良いのだけれども装丁から架空の都市を描こうというこの短編集の企画自体がもう最高で、ちょっとでも気になったら手に取ってほしい一冊。SF好きから幻想好きまで広く楽しめるはず。これは僕の激推し本でもあるんだけれども、ぜひ『起こらなかった世界についての物語』(https://bookmeter.com/books/634122)と併せて読んでいただきたい。2019/07/07

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