感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひつまぶし
2
精神分析が拓いた社会分析の可能性が疎かにされていく傾向を「危機」だと言っているのだと思う。本の構成としては中途半端で、特にフロイトや同時代の精神分析家、思想家の批判になっている前半部の議論の意義はよく分からない。フランクフルト研究所時代に書かれた後半の論文は面白い。というか、精神分析を社会分析に応用したフロムの学術的貢献はこの時点ですでに出尽くしていたのかもしれない。「フロム派社会学」とでも言うべきものに発展していれば面白かったと思うが、精神分析の細かな論争にこだわって、それは叶わなかったということか。2023/06/24