出版社内容情報
かわいいいたずら子ウサギのお話は,キリストの受難を描いたものだった……。さまざまな絵画,図像学の約束事ほか多くの傍証をもとに見事な結論に導く異色の「絵画推理」!
内容説明
かわいいいたずら子ウサギのお話は、キリストの受難を描いたものだった…!?さまざまな宗教画、図像学の約束事ほか、多くの傍証をもとに見事な結論に導く異色の「絵画推理」。
目次
はじめに ピーターラビットの謎?
第1章 ハーブのフォークロア
第2章 「ぶどうパン」とは何か
第3章 名脇役の小鳥と花
第4章 十字架と案山子
第5章 復活するうさぎ
第6章 ちょっと冒涜的
終わりに ヒルトップへの旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takakomama
7
ピーターラビットの物語は「ピーターの危機と脱出、ピーターの「受難」を描いたもの そこにはイエス・キリストの十字架上の死にいたる「受難」の物語が重ね合わされている」そうです。こじつけ? キリスト教を信仰する人なら、連想して当たり前のこと? 訳された物語には宗教的な意味合いを感じませんが、そこかしこにキリスト教のモチーフがちりばめられているとは驚きました。美術も好きなので、絵画やフレスコ画の解説も興味深かったです。「原文で読みたいならキリスト教の知識があった方がより理解できます」と絵本の講座の先生の紹介本。2022/10/09
momonnga
3
ピーターラビットの物語がイエス・キリストの受難を参考にしてるかもという内容でした。着眼点は良かったです。でもピーターラビットの話よりキリスト教の図像学の話の割合が大きくて…もっとピーターラビットの話を中心にして欲しかったですね。説明書が長く肝心の中身は少しだけという印象です。作者のポターがどれだけキリスト教を意識したかは分かりませんが、ピーターの姉妹の数が3人なのは偶然かもしれないしキリストの復活に立ち会った3人を意識してるのかもしれない。想像するのはベーキングパウダーを膨らませるように自由で楽しい。2018/12/18
のんたんの
2
〜生活に密着したフォークロアシンボル(図像学)『文化』が単なる知識の集積と異なるのは、それは豊潤な余白を有す点である〜 キリスト教美術によって、大衆の脳裏に定着させられたイメージの解体と再構成。ポターさん、暮らしに溶け込む様にパンクなしかけを創ったんですね。2009/08/20
okimine_yuiki
1
凄まじく訝しみながら読んだけれども、最後にポターがユニテリアン派だという記述で納得できた。当時は抑圧的な親は大勢いただろうし、ポターがあそこまで結婚に苦労した理由は宗派なのかも。ユニテリアン派の絵画でも一目で冒涜だと解るものから大工の日常風景まで幅広いようだ。こういう流れならば子うさぎを受難に見立ててもおかしくないなと思う。ニンブス(光輪)~天使の輪への過渡期の絵画がシュールで面白い。絵画に様々な約束事があるのは、日本だと和歌に近いだろうか?『名脇役の小鳥と花』の章は好き。種類が解説されているのが嬉しい。2022/02/10
やま
1
ピーターラビットをキリスト教と民間伝承から解釈した本。着眼点が面白い。2020/06/28