内容説明
歌人としての歳月に深い思いをひそめ、鉄幹との激しい恋から十二人の子の親となる一人の女性があゆんだ生活史にも目を配りながら、晶子の歌の世界の奥行きに新たな光をあてる。
目次
1 うたのふるさと
2 いさり火は身も世もなげに瞬きぬ
3 「佐保姫」から「草の夢」へ
4 巻頭歌についての疑問
5 君なき夏の初まれるかな
著者等紹介
竹西寛子[タケニシヒロコ]
1929年広島市に生れる。早稲田大学文学部文学科(国文学専修)卒業。著書に、「往還の記―日本の古典に思う」(田村俊子賞)、「式子内親王・永福門院」(平林たい子賞)、「管絃祭」(女流文学賞)、「兵隊宿」(川端康成文学賞)、「山川登美子―『明星』の歌人」(毎日芸術賞)などがある
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感想・レビュー
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スミレ
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難破船2人の中に眺めつつ君も救はずわれも救わず 女に懺悔を聞きて更に得る病ありとは知らざりしかな 相手から不実を告白され上辺は動じない女がどれだけいるものか。告白された女の衝撃と今更の様に確かめられた女の執着が、詠まれた。 君がする懺悔によりて救われしものなしわれも君も悲しき 懺悔して心にものの消え去ると思ふ幼き人にもあるかな。 尽くされめいる妻への負目に耐えきれず懺悔する夫を甘えだけの人と見たくない。本人への忠実さに背けぬ人は、人を傷つけることに躊躇する余裕もない。 「君死にたまふことなかれ」2022/07/09