内容説明
著者にとっての文学入門でもあった漱石の処女作『吾輩は猫である』から遺作『明暗』にいたる作品をテクストに即して精緻に分析する注目すべき評論集。
目次
序説―『こころ』と『道草』
ウイリアム・「盾」・水―「幻影の盾」源流考
『猫』と「塔」と「館」と―作家漱石の発車
「坊つちやん」
漱石と国家意識―「趣味の遺伝」をめぐって
ユリの美学―漱石とキリスト教
江藤淳著『漱石とアーサー王伝説』批判
再び『漱石とアーサー王伝説』批判
漱石の構想力―江藤淳『漱石とアーサー王伝説』批判
「薤露行」の構造
水・椿・オフィーリア―『草枕』をめぐって
トリスタンとイズーの駈落ち―『三四郎』をめぐって
姦通の記号学―『それから』『門』をめぐって
幻想の生れる場所―「夢十夜」「永日小品」
『彼岸過迄』をめぐって
文学と思想―『行人』をめぐって
『こゝろ』の構造
「自伝」の効用―『道草』をめぐって
『明暗』の結末について