内容説明
賢治文学の源泉としての短歌「歌稿(A)(B)」と、それに連続する時期の短唱「(冬のスケッチ)」を収録、雑誌発表、書簡、原稿断片等の中の短歌もすべて収める。
目次
短歌(歌稿(A)
歌稿(B)
雑誌発表の短歌
書簡中の短歌
原稿断片等の中の短歌)
短唱(冬のスケッチ)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不識庵
11
宮沢賢治が短歌を詠んでいたとは、最近まで知らなかった。「風ふけば草の穂なべてなみだちて汽車のひゞきのなみだぐましき」大正三年作、賢治は18歳である。自然と文明の双方を含有するイーハトーブの世界の胎動が、すでに聞こえはじめている。物語を紡ぐ修羅たる賢治も、すでに在る。賢治の作品の底流にあるのはマイノリティーへの眼差しである。賢治の手にかかれば、電信柱は立っているだけではなくなる。嫌われ者のよだかは、読み手の心に灯をともすかけがえのない鳥になる。その創作の出発点が短歌だった。そして物語を創る原動力は哀である。2017/10/05