内容説明
やっと自由にものが書ける時代が来たというのに、何と不運な男だろう(高見順)―敗戦直後惜しまれつつ逝った武田麟太郎から宮地嘉六、水守亀之助、橘外男、木山捷平、有吉佐和子、深沢七郎、色川武大、吉行淳之介、百歳で長逝した丹羽文雄まで、百人の作家たちの心に残る生活風景を豊富なエピソードで綴った文壇ショートストーリー百話。60年に及ぶ戦後文壇栄枯盛衰の物語。文庫書き下ろし。
目次
散る花のなにをかいそぐ―武田麟太郎
なんてまあ哀しい男だろう―織田作之助
人生五十年、一日余ししかなしさよ―横光利一
そんなところまでは手が届かない―菊池寛
拙者を文士だ、と思っているか!―真山青果
小説を書くのがいやになったから死ぬのです―太宰治
男の罪の意識のわかる女っていいねえ―田中英光
どうか故人を赦してやって貰いたい―林芙美子
春の雪ひとごとならず消えにけり―高田保
座蒲団の紅き厚さに日脚伸ぶ―久米正雄〔ほか〕
著者等紹介
大村彦次郎[オオムラヒコジロウ]
1933年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部・文学部卒業後、講談社入社。「小説現代」「群像」編集長を経て、文芸出版部長、文芸局長、取締役を務める。その間、野坂昭如、井上ひさし、長部日出雄、村上龍、村上春樹ら多くの作家の文壇デビューに尽力し、また池波正太郎「仕掛人藤枝梅安」、笹沢佐保「木枯らし紋次郎」などの評判作を企画し、ヒットさせた。『文壇栄華物語』は第18回新田次郎文学賞、『時代小説盛衰史』は第41回長谷川伸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。