内容説明
ナポリ方言で書かれたこのヨーロッパ最古の昔話集は、イタリアならではのおおらかであけっぴろげなエロチシズムと、荒々しく皮肉たっぷりの残酷さで満ち満ちている。バジーレ独特の凝った表現には、はでやかで不可思議なバロックの雰囲気が漂う。子どもたちのためのグリム童話より180年も昔、大人の娯楽だったおとぎ話はこんな姿をしていたのである。全2冊。
著者等紹介
バジーレ,ジャンバティスタ[バジーレ,ジャンバティスタ][Basile,Giambattista]
1573?‐1632。17世紀イタリアを代表するナポリ生まれの詩人。海軍から帰郷後、有名な歌姫だった姉アドリアーナに従って宮廷の賓客となる。知事、総督などを務めるかたわら、イタリア共通語で短編小説、詩、音楽劇を創作するが、ナポリ方言で書いた詩や物語こそバジーレの真骨頂である
杉山洋子[スギヤマヨウコ]
1930年生まれ。関西学院大学名誉教授
三宅忠明[ミヤケタダアキ]
1939年生まれ。岡山県立大学名誉教授。岡山商科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
67
死んだ竜の血を求める話「竜」は、ジークフリート伝説と通じるモチーフ。ナポリの「眠り姫」ともいえる「日と月とターリア」は、トゲが刺さって眠りこんだターリアを通りかかった王様が見初めて手を出し、生まれた双子が乳を吸おうとしてトゲの刺さった指に吸い付いたためトゲが取れてターリアが目を覚ますというびっくりな話。しかも、嫉妬深い王妃が、双子を殺してその肉を父親である夫王に食べさせようとする。そして、5日目の10番目は、それまでは語り手ではなかった発端の話のゾーザが自分の身に起こったことを話して大団円となる。2021/08/21
文吾
8
★★★★★/図書館本、バジーレのイタリア民話、下巻。上巻よりボリュームありました。下巻はドラマチックで引き込まれる話と全く好みでない話が半々でしたが、楽しく読めたので星5。特に良かったのは男装の乙女『ベッルッチア』。ハーレクインのコミックスで読みたいわ。『動物にされた三人の王様』の冒険譚も素敵でした。2016/04/05
tamako
1
やっと読み終わった! どの話も奇想天外、時にエロチックだったり汚い話だったり。夜になる、夜が明ける、という現象の描写がとりわけ凝りに凝ってて、恐らく重複なし。重厚だけど楽しい昔話の世界でした。2020/02/11
ks3265
1
上下巻を読むのに珍しく時間がかかりました。読み応えがありました。中学生時代、図書館の名前を忘れたけど、おとぎは梨全集を読了したことを思い出しました。どれもがどこかで聞いた話のようだけれど、最後に警句がついている。大体は、まじめで親切な人が不幸になっても結果的には幸せになる。たまにはそうでない話もあるけれど。人間の欲望は昔も今も変わらない2017/03/12
よっちん
0
(図書館)2012/07/08