内容説明
19世紀のイギリス人博物学者ウォーレスは、「種の起原という問題を解くため」、マレー諸島へ旅立つ。8年におよぶこの探検旅行の観察と見聞をもとに、C・ダーウィンとは別に、動物地理学にもとづく進化論を構想し、ロンドンの科学界に大波乱を引き起こした。驚くべき大きさのモルッカの甲虫、樹冠で舞い踊る極楽鳥、文明と未開の批判的考察、地元の伝統船での危険な航海など、驚きと尊敬と知性に満ちた視線で語られるマレー諸島の人間と自然の記録と、科学に捧げた崇高な精神が導かれた動物学的および地理学的な考察による近代科学の記念碑的傑作。下巻では、上巻につづくモルッカ諸島、パプア島群の記録と、詳細な訳注と解題、索引、参考文献などの資料を併載。
目次
モルッカ諸島
パプア島群
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OZAC
9
ダーウィンと共に自然選択説を提唱した学者ウォレス氏の旅行記。ダーウィンと違って平民出身だったウォレスは、充分とは言えない資金を何とかやりくりしながら、実に8年もの間、マレー諸島でゴクラクチョウやオラウータン、その他美麗な昆虫類を追い求め続けた。その間現地の住民たちとの交渉において様々な困難に出会うが、四苦八苦しながら克服していく様は好感を抱かずにはいられない。私もウォレスの助手の一人となって、一緒にマレー諸島の熱帯林のなかを捕獲網と銃を担いで歩き回ったような気分だ。2018/05/23
shrzr
0
長く実りの多い旅を終えた感動をひしひしと感じます。2012/05/05