内容説明
一九九〇年代に、若者の仕事は大きく変貌した。非正規社員の増加、不安定な雇用、劣悪な賃金…。なぜ若年労働者ばかりが、過酷な就労環境に甘んじなければならないのか。それは、戦後日本において「教育の職業的意義」が軽視され、学校で職業能力を形成する機会が失われてきたことと密接な関係がある。本書では、教育学、社会学、運動論のさまざまな議論を整理しながら、“適応”と“抵抗”の両面を備えた「教育の職業的意義」をさぐっていく。「柔軟な専門性」という原理によって、遮断された教育と社会とにもういちど架橋し、教育という一隅から日本社会の再編に取り組む。
目次
序章 あらかじめの反論
第1章 なぜ今「教育の職業的意義」が求められるのか
第2章 見失われてきた「教育の職業的意義」
第3章 国際的に見た日本の「教育の職業的意義」の特異性
第4章 「教育の職金的意義」にとっての障害
第5章 「教育の職業的意義」の構築に向けて
著者等紹介
本田由紀[ホンダユキ]
1964年徳島市生まれ。社会学者。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学(教育学博士)。現在、東京大学大学院教育学研究科教授。著書に『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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