内容説明
美人で、聡明で、完璧な人に見える“一葉”には頭の痛い大問題があった。ドレスの似合うお嬢様育ちの“曙”にも大きな悩みが…。明治生まれの二人の女性は、なぜ“書く”ことに命をかけたのか。「いつも頭のどこかで、一葉がきになっていた」という著者が二人をモデルに小説を書いた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIHOLO
18
先日読んだ「恋歌」繋りで、樋口一葉。こんな人だったのか!!驚愕の事実。貧しい文学人というと、何故か勝手に清貧だと思い込んでいたけど、頑固な故の結果も少しはあった気もした。桃水との恋愛的な話は群さんだからか、あまり突っ込んでなく、その部分は、瀬戸内寂聴さんで読もうかな。木村曙は初めて知ったけど、写真見ると綺麗な人だし、世が世なら、きっともっと羽ばたけただろうなと。読み終えた今は曙の方に同情。一葉はもう少し他のも読んでみたい。2017/03/29
紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎
16
樋口一葉と木村曙。従来の女性の生き方を打破し自由に生きたかった2人。彼女たちだけではなかったであろう、この時代の女性たちの生きづらさは。。士族であることから抜け出せず、商人から抜け出せず、父の母の意志からも抜け出せない生活苦あった一葉と曙。若くして命を亡くしたのも時代の籠からは飛び立てなかったことが偲ばれる。金銭に困窮し、資金繰りに生涯迫られた彼女が5千円札に佇んでいる。たけくらべの純粋さ。にごりえの凄み。安堵しているようでいて負けん気の強い彼女は世の女性たちに今ある常識を疑えと訴えているようにも見える。2022/03/23
kaoriction@感想は気まぐれに
12
かなしき五千円札。まさか後の世に、夏子がお札の顔になるだなんて母は夢にも思っていなかっただろう。皮肉にも、苦しめられたお金に。お金と「士族」という栄光につきまとわれた夏子の母はかなしい。曙の父もかなしい。かなしい人ばかりが出てくる、樋口一葉と木村曙を描いた小説。一番かなしいのは、やはり夏子だろうが、恋もして、文句を言いつつも、なりたかった作家にもなったのだからそう悪い人生でもなかったのかも。嵐山の『おとこくらべ』にそこまでかなしい夏子はいない。描く作家で違う。曙も魅力的だけれど、「い夏」にも興味が湧いた。2012/10/25
双海(ふたみ)
7
一葉が愛おしいよ・・・うん。2013/12/11
しき
7
樋口一葉にきらびやかなイメージはなかったけれど、ここまでつらい生涯とは知らなかった。後半は読むのが苦しくて苦しくて。自分が抱えている日々の小さな不満がとんでもない贅沢に思えてくる。こんなにお金に苦労した人が、今や5000円札を飾っているとは・・・。一葉はあの世でどう思っているのやら。2010/10/28