内容説明
時代の夢と憧れを乗せた超豪華船「タイタニック号」の遭難。それは当時の人々が持っていた機械文明に対する楽天的な信仰をゆるがした。その犠牲者は上流社交界の人々と三等船室にいた多くの貧しい人々である。処女航海で海の藻屑と消えた船で繰り広げられた人間劇。多くの資料と生存者の談話をもとに、その伝説の真相にせまった、優れた記録文学。
目次
暗夜の海上に、突如氷山！
「タイタニック号」停船
海水、デッキを洗う
まず、婦女子をボートへ
船は傾いた！
沈みゆく巨船
悲運の三等船客
ボートから緑色の閃光信号
救援船全速で北上
死者千五百三名
「タイタニック号」に関する諸事実
著者等紹介
ロード，ウォルター［ロード，ウォルター］［Ｌｏｒｄ，Ｗａｌｔｅｒ］
１９１７年生まれ。’３９年プリンストン大学卒業。戦後再びエール大学法科に学んだ後、ニューヨークで編集関係、広告関係の職についた。『タイタニック号の最期』を’５５年に発表し、たちまちベストセラー作家となった
佐藤亮一［サトウリョウイチ］
１９０８年、青森生まれ。’３２年、慶応大学卒業。毎日新聞記者、共立女子短期大学文科長を経て日本翻訳家協会副会長。のち、会長に。１９９４年没（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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鈴
31
少しわかりにくかったが、映画でみた映像が浮かぶほど、要所要所は似通っていた。某国のフェリー沈没時の船長とは真逆の、男らしい勇敢な船長で、船員たちも自分の身よりも先に乗客の安否を気遣っている。どうして「氷山警告」を聞き入れなかったのか、どうしてもっと早く救助船は来なかったのか…と、不思議に思うこともあり、結局はこれに書かれていることも完璧ではなく、タイタニック沈没は謎が多いようだ。2016/03/09
Kouro-hou
24
先日映画「タイタニック」25周年3Dリマスター版が2週間の限定公開にも関わらず大ヒットしました。乗らなければこのビッグウェーブに!というわけで劇場行ったら、どうみても25年前には生まれて無さそうな人がいっぱいでした。こちらは生存者や救出にあたった汽船の証言をまとめた記録集。何せ千人以上亡くなりましたが生存者も数百人なので、前にどちらでお見掛けしましたっけ、となる。 映画は忠実ではないが登場人物がモデルになっているので補助的に見ると理解しやすい。wikiで人物のその後をフォローすると物語として把握しやすい。2023/03/15
musis
20
資料と生存者の談話をもとに作られたタイタニック号の記録文学。階級による扱いの差、船客2207名に対して1178名しか乗せられない救命ボート、その数字の食い違いを知らない船員たち、諸々のことが、危機感を持つ大切さを教えてくれる。海や空、木より高い場所に普通人間は行けないものだという、本来当たり前である事実に気が付かされた。ナイトガウンをなくしたことを慰めるボートの上の上流階級の横で、多くの三等船室の人々が命を落としたことが印象的だった。訳の、少し分かりにくいところもあった。2015/02/05
縄文会議
4
すごかった。資料と生存者の証言を元にした記録文学。転覆後、ボートに乗ってる人を励まして、自分はボートに乗ろうとせず離れて泳いでいったという誰だか分からない人とか、一つしかないボートの席をほかの婦人にゆずった女性など、人間はこういう風に行動できるのかと読んでて泣きそうになった。2023/05/20
Ryosuke.*
4
このあと読もうと思っている物語の予習として読んでみました。あの衝撃的な日に起こったこと、その伝聞譚をなるべく客観的に淡々と書かれています。ですが、どれだけそのドラマ性を削ぎ落とそうが、にじみでるドラマ。全員分の席がないボート、引き裂かれる夫婦。沈む船、浮かぶ船室の物々。燦然たる星空、流れる星、浮かぶ人とボート、沈む船と人。波の音とうめき声。そのなかで光る騎士道。このあとに控える物語を読むのがたのしみになりました。そして映画の方も見返したくなる、そんな作品でした。2013/12/16
