ちくま文庫<br> 魔術師

ちくま文庫
魔術師

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  • サイズ 文庫判/ページ数 378p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480030085
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

「意志、愛、想像力等は、万人がもっている魔術的な力ではありませんか。それらの力を最高度に発揮する方法を知る者が、すなわち魔術師です。」今世紀最大の魔術師アレイスター・クロウリーをモデルに、オカルティズム文献を駆使し、渾身の力をこめて描きあげた幻の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

25
魔術師アレイスター・クロウリーをモデルにした魔術師が登場するモームにしては珍しいオカルティックな作品。登場人物の構成はブラム・ストーカーの『ドラキュラ』によく似ている。 ドラキュラ→魔術師オリヴァー ドラキュラに婚約者を奪われるジョナサン・ハーカー→婚約者マーガレットをオリヴァーに奪われる外科医アーサー ドラキュラに攫われるジョナサンの婚約者ミナ→ドラキュラに魅了されるマーガレット ドラキュラを退治せんと目論むヴァン・ヘルシンク博士→アーサーの父親の友人ポロエ博士 2022/08/09

アカツキ

14
医師アーサーは美しい婚約者マーガレットと間近に迫った結婚に幸せいっぱい。そんな時、自称魔術師オリヴァと知り合う。二人は嫌悪して避けようとするが、マーガレットの親友スージーがオリヴァ興味を持ってお茶会に招き、その席でアーサーはオリヴァに恨まれてしまう。オリヴァは妖力でマーガレットの心を奪い…。魔術師オリヴァはアレイスター・クロウリーがモデル。一人称が吾輩だからスネイプ先生を思い浮かべてしまう。不器量な年上の独身女性スージーはマーガレットが大好きというけど、行動は毒友なんよなぁ。2022/08/28

ふぁきべ

7
どちらかというと『特に際立ったことは何も起きないのに、次の展開が知りたくなる』というのがモーム作品の特徴だが、本書についていうとそれは当てはまらない。非常にオカルト色の強い本で、際立ったことが起きるから読み進めてしまう作品だと思う。この版は1995年にちくま文庫から出たようだが訳文が固く古いので、新訳があればとも思うがその価値があるかどうかは微妙2020/04/11

てら

7
1907年の作品。つまり第一次世界大戦で諜報員を務める前の執筆ということになる。一言で言えば「若書き」。後年のモームの簡潔で効果的な人物描写や、シニカルだが本質を衝いた表現はまだそれほどではない。筋立てもシンプルな割に破綻も多く、キャラクターも少ないのに掘り下げがあるとは言い難い。しかし冗長に見えるうんちくや衒学の、言うなれば演出の部分については完成度が高いと思う。文豪でもこういう作品はあるんだなーというところと、20世紀初頭の「オカルト」の空気感のようなものが収穫。2019/08/11

きりぱい

5
こ、これはあかんでしょ!クライマックスの数ページなんて、映画になったら『ソウ』シリーズより引きそう。所はパリ。婚約中の2人が知り合ってしまった一人の男。嫌らしげな印象なのに抗いがたい博識の魅力を持つ、自称幽界の徒。南洋モノなんかでも結構異常な作品はあったけれど、オカルトに始まりオカルトに終わるこれは別格の面白さ。モームを読んでいることを忘れる。焦るあまり全くスージーを斟酌してやらないアーサーがひどい。2011/01/12

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