内容説明
「貞女とは、多くのばあい、世間の評判であり、その世間をカサに着た女の鎧であります」さあ鎧を脱ぎましょう、この大学では、姦通学、嫉妬学、社交学、整形学など種々の講座があります(反貞女大学)。そのあとで男性をじっくり研究して(第一の性)幸わせとは何なのかお考え下さい。三島のユニークな男と女の研究書二篇を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
312
1965年に産経新聞に連載された女性論の体をとったエッセイ。世に貞女はまだまだたくさんいらっしゃるだろうけれど、貞女という言葉はもはや死語に近いのではないだろうか。三島は女性を馬鹿にしているというわけではないが、それでも軽妙洒脱にからかってはいる。後半に置かれた男性論のタイトル「第一の性」は、もちろんボーヴォワールを揶揄したものだ。また、そこには文明論的な視座もあり、例えば「空想学」では、女性の空想が実は大企業が作りあげたものに過ぎないと指摘している。男だって車や道具を欲しがる限りは同類なのだが。⇒2017/11/19
青蓮
98
三島流のエスプリが効いた、女性観・男性観を説いた軽快なエッセイ。とても楽しく読みました。男性心理は当然だけど、ここまで女性心理を明確に分析しているのはさすがです。「第一の性」のラストを飾る「三島由紀夫」には思わず笑ってしまった。「何かそのうち、どえらいことを仕出来すこともあるでしょう。」 とは自身の壮絶な最期を仄めかしているのかな。エルヴィス・プレスリーを「ヨーグルトを固めたような男」って言ってるのがちょっと謎だった。一体どんな男?2017/05/05
優希
53
女性論と男性論をエッセイとして描いた作品ですね。賛否別れるところもありますが、現代にも通じるところもあると思います。女性軽視の空気もなくはないですが、全体としては納得させられてしまいます。ユニークな論文と言っても良いでしょう。三島ならではの男女の見方を知れました。2022/09/25
優希
43
再読です。三島のユニークな男女の研究を覗くことが出来ました。主に男性論を論じていますが、賛否両論あると思います。三島の考え方を知るには良いのではないでしょうか。個人的には面白く読みました。2023/11/29
カピバラ
38
三島由紀夫先生の話はわかりやすくて、面白い。文体もオシャレで素晴らしい。新婚のわたくしめが読んで大丈夫かしら?と思いながら読み進めました。男とは、女とは?夫婦とは?色々考えさせられました。男はみな子どもという教訓を肝に銘じたいと思います。2014/10/21