ちくま文庫<br> インドへの道

ちくま文庫
インドへの道

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 549p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480028525
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

イギリス支配下のインドの小さな町を舞台に、インド人医師アジズと、フィールディングらイギリス人との交流と対立を描いて、東洋と西洋、支配民族と被支配民族がいかにして結びつくことができるかを問うフォースターの代表作。無実の罪に問われたアジズのその後は?デヴィッド・リーン監督により映画化され、いま異文化との摩擦、融和の問題に直面する現代日本で重要なテーマを提起する不朽の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

391
作品世界に投入しにくく、また現代の私たちがストレートに共感することも難しいだろう。その齟齬は、この時代にインドににやって来たイギリス人自身が感じていたのであるし、一方のインド人たちも受け身の立場にあって相互理解の不能性を痛感せざるを得なかっただろう。アデラは「本物のインドが見たい」と何度も言うのだが、彼らが本物のインドを見ることはない。イギリス的な価値観からすれば、これこそがイギリスというものを提示することが可能であるかもしれない。しかし、インドにそれを求めること自体が価値体系の本質的な違いなのである。2020/08/14

遥かなる想い

215
デビィッド・リーン監督により映画化された 物語の原作である。1924年の作品だが、 東洋と西洋、支配民族と被支配民族との 対比が当時の時代風景を 現代に伝えてくれる。 インド人医師アジズと イギリス人ムア夫人、 ミス クウェステッドとのやり取りは 当時の イギリスとインドの関係の象徴なのだろうか.. 洞窟の中で 何があったのか..民族の融和は 到底無理なのか..現代にも繋がるテーマが アジズの視点を通して 伝わる、そんな物語だった。2017/03/22

ケイ

128
再読。冒頭でインド人二人が語る話題【イギリス人と親交を結ぶことは可能か】。馬たちが、大地が、自然が、アジスとフィールディングに答える「まだだ、まだだ」。支配者と被支配者の真の交流、性を越えた愛、宗教の違いを超えた信仰。西洋の司法の基準に基づいた裁判をイギリス人は持ち込むが、それをずっと上から見物している大きなうちわを持った男。山々がそびえ、神々が満ちるベンガル地方の神秘にイギリス人ものみこまれる。書かれたのは1924年。描かれる裁判後の暴徒の様子は、その何十年か後のラシュディの世界を彷彿とさせる。2021/08/28

扉のこちら側

92
2016年400冊め。【191/G1000】第二次大戦後の政策により東西パキスタンと分離した今の国家インドとは違い、作中時間の20世紀初頭のインドはヒンドゥー教徒とムスリムという二つの宗教勢力が一緒に暮らしていた。そしてお互い独立への意識が芽生えはじめた頃だ。ヨーロッパとアジアの植民地支配が根底にあり、政治的な印象からは逃れられない。それなのにホモセクシャルな香りただよう、なんとも言えない雰囲気もある。(続)2016/06/12

NAO

61
コミュニティと距離を置いてまで支配者然としたイギリス人たちとは違った公平な目を持とうとし、少しでも対等な態度をとろうとするアデラやフィールディング。だが、そのフィールディングでさえ、インド人に対する自分たちの優越性を疑わず、インドをイギリスが支配するのは当然だと信じており、平気で差別的な発言をする。東洋と西洋、支配者階級と被支配者階級のなんという壁の厚さ。イギリス人の、インド人に対する差別意識の、なんと深いことか。アジズがどこかいい加減な人格に書かれてしまっているのも作者がイギリス人であるからか。  2017/01/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/83105
  • ご注意事項