出版社内容情報
太平洋戦争という巨大な人間ドラマの中で、それぞれの役を演じた人々の哀しみを、好戦・反戦をこえて冷静なタッチで捉えた戦記漫画の傑作集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
279
水木しげるさんの戦争漫画を初めて読みました。流石に重いテーマですのでユーモアは控え目ですが、でも暗く絶望的で深刻なトーンでは書かれていませんし、極限状況の中でのヒューマニズムが描かれていて思わず涙を誘われますね。全7編の内で私が最も心を打たれた慟哭の感動作を紹介しますね。『白い旗』昭和二十年二月十日、硫黄島。アメリカ軍は六万一千名の大軍を八百隻の艦船に乗せて大挙硫黄島に押し寄せてきた!これを守る日本軍二万二千名。海軍陸戦隊西大条分隊120人に対し水がドラム缶に1本、硫黄の水が3本で12日しか保たない量だ。2021/12/23
Vakira
55
水木しげるさんの戦記もの短編集。しげるさんの実際の戦争体験談もあり。生残れてよかった。戦場での欲望は食か?性か?死との瀬戸際の兵士たちは自分の種を残したがる。生々しい。パプアニューギニアのレーモン河畔。現地の美人姉妹(フィリピンとドイツ人のハーフ)のいる一家。上官から米軍のスパイ容疑で処刑指令。処刑するには忍びない。そうこうするうち、米軍からの攻撃で日本軍陣地へ逃げてくる。食料を恵む代わりに・・・おお~極限状態での人間の善意と欲望と正義の葛藤。漫画の純文学やん。2024/04/17
零水亭
9
(2008年頃、読みました)泣けました…
fonfon
8
「硫黄島からの手紙」を息子と一緒にみたあと、水木しげるの戦争体験について語り合い、「幽霊艦長」を再読しなければ、という話になった。この悲惨な体験を生き延びてのち、「妖怪には愛嬌がなくちゃいかん」という信念に、水木さんはたどり着かれたのでしょう。水木さんの原点、がここにある。2011/08/14
ポカホンタス
5
太平洋戦争での兵士たちの悲しき物語。悲しさの中にもペーソスと人情がある。2011/08/13