ちくま文庫<br> 失われた時を求めて〈10 第7篇〉見出された時

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ちくま文庫
失われた時を求めて〈10 第7篇〉見出された時

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  • サイズ 文庫判/ページ数 707p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480027306
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

77
最終巻です。母を慕い、アルベルチーヌを愛し、失望していく。憧れの土地、人、全てを手に入れる。それら全てが記憶の大河と言えますね。いつの間にか流れていた時と老齢になった自分を見たときの感情の揺らぎと共に死の予想を匂わせるようでした。貴族の御伽噺として、綺麗事に終わらせず幕を引く物語を読めたことは大きな財産だと思います。2018/05/19

mii22.

43
最終巻では多くの月日が流れ「私」は老い、病気がちで死を意識しはじめる。この長い物語もいよいよ終わりに近づき、最後のゲルマント大公夫人邸の午後のパーティーの描写ではこれまでのすべてが回想され、語り手と読み手が同調させられるかのような不思議な感覚に陥り「はっ」とさせられた。なるほど、ここで語り手の「私」は自分のするべきことを見い出だし、この物語を書きはじめようとするのだ。⇒2016/07/10

Ryuko

27
最終巻のタイトルは「見出された時」。かつて、ベッドの中で、よみがえった子供のころの思い出。マドレーヌが呼び起こす過ぎ去った時。時をテーマにしたこの長い物語もとうとう終わりを迎える。ゲルマントの午後のパーティーで、時が人にもたらす老いを実感する。その一方、ゲルマント、スワン、二つの家の現在を体現するジルベルトとサン=ルーの娘と会う。「わたし」は創作の決意をする。。。 →2016/07/10

22
作中で話者も少し触れているけれど、この作品は読み手の資質が問われる作品だと思う。芸術的な感性・歴史の知識・幸不幸両方含んだ人生経験。そのいずれもが自分には欠けているので、「読む」のではなく「目を通す」だけで終わってしまった。ただシャルリュス氏はドストエフスキーのスタヴローギンやヒョードル・カラマーゾフに匹敵する本当にいいキャラクターで、彼が出てくる場面だけは娯楽作品のように楽しめた。間を置いて再読したい。2015/03/10

かふ

20
なかなか感想が書けないというかまとまらなかったのだ。「見出された時」は老人文学と言ってもよく、それまでの『失われた時を求めて』が回想の文学としても時間は直線的に進んでいた。ここで語り手が老人としての振り返りがあるのだが、それが見事に描写されている。一つはズレなのである。若い時に感じていたこととのズレを見出していく文学は一回性の物語ではなく、反復なんだけど持続しているという時間論を含んでいる。それは悲劇に対して喜劇なのだ。そんな老人の姿、階段を急いで上れないとか、そういうことが身に沁みて共感出来る文学だった2022/12/12

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