内容説明
空想のなかから産まれた孫や子どもと生きる一人ぐらしのおばあさんのところへ、ある日遠い野ばらの村から、本当に孫がたずねてきた…。表題作ほか、ひらめや描やめんどりたちが、さりげなく運んでくれる9つのメルヘンを収める短篇集。メルヘンのたのしさのあふれた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
91
鬱々としてきたので午前中、お散歩に行きました。家からさほど遠くはないけれど、これまで歩いたことのない住宅街を気の向くまま。とある場所で足が止まりました。たんぽぽやハルジオンや名前も知らない草たちがわーっと生えているのが目に入って。こんな風に草が青々と元気に生えている場所をとても久しぶりに見て、子供の頃に時々行った原っぱみたいなところを思い出しました。たんぽぽとかシロツメクサで花輪作ったりしたっけ。ヨモギなんかも摘んだりしたっけ。安房さんのお話に出てきそうなのどかな春の景色に、懐かしさに心打たれました。2020/04/17
(C17H26O4)
56
石けりしていたら雪が。白うさぎが一列になってあとからあとから。「片足、両足、とんとんとん」。世界のはてまで雪うさぎと一緒に。助けてくれた春のよもぎ。/百合の花のあかりを灯したのは、うすい緑色をしたきれいなカエル。ほんものの水力発電所からのほんものの電気を、百合の根につなげて。カエルにもらった端切れのちりめんで作ったお手玉が見せた、ほろほろと散る八重桜。/へちまのつるは、しゅるしゅる伸びて誘いました。へちまの花の黄色い光の世界へ。黄色いけむりになるまでおどりたい。耕運機のうなり声でしゃべる若者はだあれ。2018/12/15
topo
5
現実の中にある異世界への扉を知らず開けてしまったような九編の短篇童話集。 心暖まる表題作から少し怖く美しい「野の果ての国」まで多彩な世界が広がる。自然や動物たちの放つ光、不可思議な表情を丁寧に掬い取り描いた作品が忙しい日常に疲れた心を解してくれる。 2019/07/29
ホレイシア
5
優しい世界に浸りたいとき、お茶を用意してどうぞ。2008/01/10
sige***
3
美しい童話集。彼女の書く作品はいつも頭に色が浮かぶ。温かい部屋で読みたい作品集。2007/10/08