内容説明
全国各地における民俗の比較研究の重要性を説き、郷土研究の意義・方法・内容をわかりやすく紹介した民俗学入門書『郷土生活の研究法』。柳田学の中心的方法である重出立証法をはじめて提唱し、民俗学の体系化とその方法論の全体像を示した最初の本格的概論書『民間伝承論』。いずれも昭和6―8年の講義記録をもとに公刊された基礎理論の書であり、経世済民をめざす新たな国学としての日本民俗学の確立を決定づけた歴史的名著である。問答形式による民俗学案内「女性生活史」のほか、「文化運搬の問題」「文化と民俗学」の諸論考を収める。
目次
郷土生活の研究法
民間伝承論
女性生活史
文化運搬の問題
文化と民俗学
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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文化は「改良」の意。「原始文化」が一つの矛盾。原始と対立するため(591頁)。シュンペーターのイノベーションとの異同を想起させられる。また、本質的な問いかけとして、「古い文化が滅びまたは退かなければ、新しい文化は生まれないものかどうか」(621頁)。これは、文化の断絶か、文化の継承か、と換言できよう。私は目に見える文化は分かり易いかもしれないが、目に見えない文化(資本)は、その違いを把握しにくいと思えてくる。というのも、新しい文化もまた、古い文化のストックを踏まえて歴史的には現代になるだろうから。2020/09/05