内容説明
父の夢は、宇宙を駆ける巨大な宇宙船を造ること。息子の夢は、海を走る巨大なカヌーを造ること―父ダイソンは、「スペース・コロニー計画」に参加した世界的物理学者。息子は、17歳で家を飛び出し、カナダ沿岸の樹上の小屋で一人暮らすエコロジスト。―決して相合うことのない二人の生き方を、淡々と重ね合わせつつ描いて、現代そのものがもつ多様性を浮き彫りにしたユニークな評伝。
目次
彗星
ヴンダーキント、あるいは神童
人類の運命・もうひとつの見解
オリオン
バイダルカ
人、月に吠える狼、海に住む巨大なクジラ
世界中でもっとも美しいもの
宇宙船
ブラックホール
まったくの狂気
ワタリガラス
スターバック
知的生活の標本
あこがれのただなか
ハンソン島
クラリオン・プロファンダス
M‐31〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マーク
11
奥深いアラスカの自然と新天地を求める宇宙旅行の夢が交互に語られる、父子の物語。当初カヌーの話になると読み飛ばしたくなり、宇宙船の話を待ち遠しい感じであったが、中盤から逆転、カヌーが主役に踊り出る。エンディング、父子は結局同じ夢を抱いていたのか? 静かで豊かな二人の男の物語。2013/02/04
ぱせり
9
宇宙をいく巨大な宇宙船を作ろうとした物理学者の父と、海を行く巨大なカヌーを作ろうとした息子。一見全く別の道を歩いているようで、実はよく似た父子。ふたり、別々のやり方で、別々の場所で同じ夢を見ているようだ。二人の夢が美しい(ときどき恐ろしい)。二つの船は重なりつつ、きっと最後まで別の道をいく。それでいいんだ、と気持ちよく。2016/08/03
やま
4
積読して10年くらいか!ようやく読み始め、読み終えた。カヌーの箇所の方が筆者も体験していることなので、断然面白い。アラスカの氷河の記述、島々の間の水道を抜ける記述、オルカ、クジラの記述。そうして私はアラスカやバンクーバーあたりに行ってみたくなる。2016/08/31
うたたね
2
極端に異なる世界観を持つ親子の交流。簡潔で見事な文章。
tommy
0
Into the Wild を見て再読2008/11/10