出版社内容情報
「仙人」「六の宮の姫君」「お富の貞操」「猿蟹合戦」「二人小町」「一塊の土」「糸女覚え書」「三右衛門の罪」「桃太郎」「大導寺信輔の半生」他26篇。
【解説: 中村光夫 】
芥川の全小説を6巻で贈る。本巻には「六の宮の姫君」ほか35篇を収録。
目次
仙人
庭
一夕話
六の宮の姫君
魚河岸
お富の貞操
おぎん
百合
三つの宝
雛
猿蟹合戦
二人小町
おしの
保吉の手帳から
白
子供の病気
お時儀
あばばばば
一塊の土
不思議な島
糸女覚え書
三右衛門の罪
伝吉の敵打ち
金将軍
第四の夫から
或恋愛小説
文章
寒さ
少年
文放古
桃太郎
十円札
大導寺信輔の半生
早春
馬の脚
春
内容説明
芥川の全小説を6巻で贈る。本巻には「六の宮の姫君」ほか35篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
67
日常に近い作品が多い印象です。新しい作風と言ってもいいのでしょうね。物語の持つ力より皮肉の方が見え隠れしていますが、それが色々な味となって感じられると思います。逆に言えば、芥川の神経質さが出ているともとれるのではないでしょうか。2020/03/21
優希
40
日常に近い作品が結構ありますが、精神的に不安定になっているのではないかと思わされます。同じ名前の登場人物で何作品も書いているのは低迷期だかでしょうか。全体的に低調な感じは否めません。2023/03/21
ころこ
38
『庭』かなり驚いた作品。本巻は一連の続きとして読めるが、その兆候のように作者の関心が人間に当たっていない。『おぎん』おぎんが棄教した後の解釈が問題になる。日本における外来思想の受容は、あくまでも1階のアニミズム的自然観の上に仏教や儒教、キリスト教が2階としてのっている。日本にとってキリスト教は様々な意匠のひとつで、人々は無意識に手段として信仰する。一神教は言うまでもなく、そのものとして受け入れる他ない。しかし、おぎんは父母のために棄教を決意し、おすみは孫七のために殉教するという。日本に一神教が根付かない理2023/01/22
r.ramone
38
晩年になるにつれて段々と心の闇の顕現をコントロールできなくなってきているような印象を受けます。『大導寺信輔』なんかもう読んでいられません。こんな感性、感受性を持っていたら長生きできないのは必然かもしれない。けれども、私はブラックユーモア溢れる保吉もの、結構好きです。…泣いても笑っても、彼の死まであと一冊。2021/07/05
あいくん
16
☆☆☆「六の宮の姫君」「お富の貞操」「大道寺信輔の半生」など35編が収められています。解説は中村光夫さんです。「六の宮の姫君」は今昔物語集から採られています。六の宮がどこか不明だそうですが京の都です。六の宮の姫君は運命のままに流されます。哀れです。「なりゆきに任せるしかない」と思っています。男が陸奥に去って行って、5年で戻ってくると言い残します。ところが戻ってきません。男は陸奥から常陸に移り、新しい妻が出来ていました。男は9年経って京へ帰ります。男は姫を探しますから忘れていたわけではありません。2020/05/14