内容説明
現代日本の最も先鋭な作家中上健次が遺す全発言から単行本未収録発言を集成。
目次
破滅と抑制―作家にとっての環境(丸山健二)
物語世界に逆巻く風(五木寛之)
物語の源泉(津島佑子)
作家と「責任」(野間宏)
われら二人、この生ぬるい時代に屹立する(立松和平)
悩む肉体・悩まない肉体―「肉体」の現在を問う(唐十郎)
母の地勢学―文学の現在(尹興吉)
血と風土の根源を照らす―『地の果て、至上の時』をめぐって(小島信夫)
マルチ物語論―『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』をめぐって(川村二郎)
同窓の頃の健次くん―紀州・初恋・恋愛詩(田村さと子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Costa まさ
5
順不同で読み始めた発言集。今まで読んだ中では一番面白い。対談の中から見えてくる中上健次は、小説家というよりは批評家や研究者、あるいは大学で講義している教職者に見える。その見識や批評眼はいわゆる文学の枠を超えて多岐に渡り、恐ろしく頭が良い人だなぁとも思う。新作を書いている最中の発言だとしても、代表作とされる「枯木灘」を「つまらん小説」「機械が書いている」と言い切っているのは本音だろう。そう言えてしまう事は一般人には不幸な事だろうと思うが、中上健次にとっては自明の事なのかもしれない。2018/05/22