出版社内容情報
英語の表現と対照しながら、日本語の特質を浮き彫りにしようとする本書の試みは、文化と言語の相関関係を示唆し、「する型言語」と「なる型言語」という類型論に新しい視野をひらいた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kodo Tenco
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Chomskyの「文法性を視ればその民族性がわかる」という角度から嗅げば、ナル型言語を有する日本人の「道」好きがわかる氣がしてくる。 ・燃やしたけれど、燃えなかった。 という文は英語のようなスル型言語には理解できない。燃え切ったという状態変化が起こっているのに、それがないとはどういうことなのかとなってしまう。日本人だからか、やはり面白味を感じるのは過程重視のナル型のほうで、究極的には、 ・生きたけれど、生きなかった。 という文にもおもわず或る種の味を感じてしまう。2017/07/17
Saiid al-Halawi
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ウナギ文とか象の鼻的な面白おかしい内容かと思えば、イェルムスレウだのアンダーソンだのと終始意外とガチな内容だった。日本語-英語の比較を軸にたまに独仏を例示しつつ容認可能な各文の類型からその深層に潜む認識の構造を導き出す、といったカンジの内容。「する」的な言語と「なる」的な言語、或いは「モノ」的な言語と「コト」的な言語の対立を可能な限り説明し尽くす、というのがキモ。もっと色んな言語で比較検討して欲しかったけど、「<起点>と<到達点>の非対称性に関する断章」はパーフェクト過ぎる出来だと思う。2012/05/14