出版社内容情報
シリーズ解説:
「彼を知りえたことは私の生涯の中で最も刺激的な知的冒険の一つであった」という B・ラッセルの証言を引くまでもなく、ウィトゲンシュタインの哲学的思索の軌跡は、二十世紀の知的世界が遭遇した一つの事件であった。比類のない分析力のおもむくところは、論理的に完璧な言語の構想から、具体的な語の使われ方に文法を見出そうとするところにまで及び、考察の照準は、一貫して言語の批判に向けられていた。
内容説明:
本書の中心的な主題は、感覚、知覚、想像、思考といったいわゆる「心理現象」の意味を改めて問いなおすことである。言語の理解を各人の経験する内的体験に基づいて説明することに対する批判は、ウィトゲンシュタインの後期の著作に繰り返し現れる主題だが、ここでは内的体験をその本質とするかのように思われるさまざまな心理現象がさらに広い範囲にわたって吟味され、こうした現象に対する新たな見方の可能性が示唆される。新資料による2巻を新たに追補した。
内容説明
本書の中心的な主題は、感覚、知覚、想像、思考といったいわゆる「心理現象」の意味を改めて問いなおすことである。
感想・レビュー
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roughfractus02
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「このようなものだ」と相手に説明する場合、ある画像(Bild)の感覚印象はその時点でどうなっているのか? 著者はそれを「相貌盲」または「形態盲」という設定で検討する。例えば、演劇の舞台背景としての書割りの建物を立体とみなすことがない人を想像してみる。すると写真はどう見えるだろうか? この些細な問いは規則や体験を個人という場に集約する近代の前提をむき出しにする。他人の痛みがわからないという時、わからないのは痛み自体なのか、その度合いなのか? では翻って、私の痛みの度合いを私は「熟知」しているのか(618)。2017/02/09