内容説明
ピーター・パン誕生にまつわるエピソードと作者ジェイムズ・バリの秘められた人生を膨大な資料と写真を駆使して解き明かす。このドキュメントはバリが愛情を注いで慈しんだ少年たちとの心あたたまる物語であり、「去っていってしまっ少年たち」へのおもいから「大人にならない少年ピーター・パン」が紡ぎ出されてくる過程が浮かび上がってくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
28
実際に読んだのは、三年くらい前です。今読んでいる『ピーター・パン』に関連するので登録します。ピーター・パンの作者バリー、彼が作家になるまでの前半生、その後、彼が公園で出会った兄弟たち、その交流を多くの資料で綴る本です。写真が多数載っていて、そこに映るディヴィス家の兄弟たち、生き生き、はつらつとしていて美しい、バリーは彼らから多くの発想を得ます。そして生まれたピーター・パン。大成功をおさめ、彼らの人生を変えることになります。数奇な運命、知られなかった事実を丹念に掘り起こした一冊です。とにかく資料が豊富です。2020/09/22
春ドーナツ
17
読書とは系統樹のようなものを育む営みではないかと思っている。著者は「2001年宇宙の旅」の助監督であり、女優ジェーン・バーキンの兄である。アーサー・ラッカム描く妖精が私をここに導いてくれた。バリーが母について書いた本から引用したい。「母は兄の死後二十九年も生き続けたが、私はついに一日も、母のなかで死んでしまったその部分を忘れさせることができなかった。兄はかたときも母の胸を離れたことはなかったのだ。私が大人になったときも、兄は依然として十三歳の少年のままだった」あの公園の二つ並んだ可愛らしい墓石が去来する。2019/05/05
スイ
6
ジェームズ・バリの生涯とその周囲の人々(主に彼自身の家族とピーター・パンのモデルになった少年達の家族)を、インタビューや残された手紙、メモなどから書いたノンフィクション。 読み終えて、壮絶、の一言。 著者は彼らをモデルにフィクションを交えたドラマを作っているそうだが、今作は非常に丁寧に、なるべく中立に書こうとしていると思う。 その姿勢に敬意を表し、ここから短絡的なピーター・パンの素人心理分析などはしないように自戒したい。2018/03/26
絹子
0
『ピーターパン』の作者であり映画『ネバーランド』の主人公のモデルであるJ・M・バリと、少年たちの交流の記録。当時の関係者たちの日記や書簡、裁判記録の引用が膨大で圧倒的。2011/02/27