内容説明
都会、田園、そして戦争、白秋が生きた明治、大正、昭和…心の襞にふれる川本三郎・文学評伝の最高峰。
目次
水の故郷の発見
幻影としての西洋
水の感受性
赤の発見―「色彩詩人」白秋
言葉の蜃気楼―『邪宗門』の新しさ
恋する詩人―「YOUNGER GENERATION」の挫折
『桐の花』の新しさと恋愛の破綻
海からの光―三崎時代の白秋
小笠原での再生
詩人の厳しい経済生活
田園に幸あり―葛飾暮し
童謡の誕生
豊饒なる童謡の世界
日本で初めて「マザー・グース」を訳す
樺太への明るい旅―紀行文『フレップ・トリップ』
山田耕筰と作った童謡
花詠む人
「たびゆくはさびしかりけり」―旅する白秋
紀元二六〇〇年と交声曲「海道東征」
最後の日々
著者等紹介
川本三郎[カワモトサブロウ]
1944年、東京生まれ。東京大学法学部卒。評論家。1991年『大正幻影』(新潮社)でサントリー学芸賞、1996年『荷風と東京』(都市出版)で読売文学賞、2003年『林芙美子の昭和』(新書館)で毎日出版文化賞、桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
1
貧乏生活の涙。2018/02/09
Gen Kato
1
白秋の詩・歌・童謡を愛誦しつつその実人生を辿る。あくまで作品論主体なのが普通の「評伝」と違うところ(江口章子とのスキャンダラスな離別のくだりはばっさりカット。潔いです)。なにより白秋の作品への愛が伝わるのが心地いいですね。読了後、思わず白秋の詩集を読みかえしました。2016/02/10
メルセ・ひすい
1
15-150 「『桐の花』事件」! 姦通罪。背のすらりとした、ぬけるように色白美貌の俗に言う「こまたの切れ上がった…」賢女。…あはれ、人妻、 ふたつなきフランチェスカの物語 かたらふひまもみどり児は声をたてつつ、 かたはらを匍いもてありく、 君はまた、たださりげなし。 あはれ、人妻。 松下俊子の父は漢方医、母は佐倉藩の士族の娘だ。都会、田園、そして戦争。白秋が生きた明治、大正、昭和…。心の襞にふれる、川本三郎・文学評伝の最高峰。今なお文芸愛好家を魅惑してやまない、北原白秋の激動の生涯を活写した名作評論。2012/03/20
せっぱ
0
「邪宗門」の赤を基調とした煌びやかな世界,「桐の花」にちりばめられた花々。若き日から晩年まで白秋の創作の背景や時代をたどる構成。昭和三年の飛行機旅行の同乗者に画家恩地孝四郎の名も。各時代の詩歌人,作曲家との交流がうかがえる。五か月で終わった小笠原体験については、どん底だが妙に明るいと記されていて、興味がわいた。2015/04/15
都人
0
詩、短歌はよく理解できないが、童謡は懐かしい感じだ。2013/11/21