現代教養文庫<br> ある総合商社の挫折

現代教養文庫
ある総合商社の挫折

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  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784390114608
  • NDC分類 335.48
  • Cコード C0193

内容説明

総合商社「安宅」が石油にかかわる海外事業で暴走し、企業としての命まで断ってしまったのは、なぜか。安宅問題の本当の主役は一体誰だったのか。銀行のあり方が基本から問い直されているいま、この経済事件の処理と苦闘のリポートを改めて読み返す。

目次

第1章 ニューファンドランドの賭
第2章 破局
第3章 崩壊の土壌
第4章 日本株式会社の総力戦
第5章 企業解体の方程式

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

39
1977年刊の単行本を1993年に文庫化。大手商社の一角を占めていた安宅産業が事業拡張を焦るあまりアメリカで石油精製事業に手を出すも頓挫。資金繰りに行き詰まり伊藤忠商事に救済合併されるまでの記録。 安宅産業では創業一家の発言力が社長よりも大きく、社内体制が乱れチェックが働かない状態で各営業本部が暴走。破局は起きるべくして起きたものでした。 安宅産業は解体。金融界を挙げて安宅の不良資産を背負い込み、信用不安を防ぐために政府も支援。一企業の失態を処理するためにまさに「日本株式会社の総力戦」が行われました。2020/08/07

yokmin

28
十大商社の一角を占め、堅実経営で知られた安宅産業が1977年に崩壊した。実は堅実経営でもなんでもなく、商社間の売上高競争にあおられて、海外でも国内でも、聞いてあきれるようなきわめてずさんなビジネスを重ねた結果だと。鉄鋼など主たる商権は従業員と共に伊藤忠に、繊維はイトマンに移管された。しかし、その後イトマンはバブル時代に闇の勢力に取り込まれた悪名高いイトマン事件で、1993年に住金物産に吸収された。安宅の繊維部門の社員にとっては、苦難の道が続いた。2021/05/27

bookworm1963

3
1977年放送「NHK特集」の取材記録本として刊行されたものを1993年佐高信監修で文庫化。当時10大商社の一角を占めていた安宅産業は1977年10月伊藤忠に吸収。古い商権にしがみつき創業家安宅家による私物化を許し国際化も多角化も出来ないまま自滅。安宅家とその取り巻き(安宅ファミリー)が牛耳る異常な会社組織の中で飼い慣らされてしまった社員3600人は伊藤忠に移った1000人を除き全て離散するも潰れないと甘えていた社員は経営陣だけにその責任を問えないだろうと感じました。 2016/04/07

ダイト

1
オススメ度★★★★☆ 温い社風だった安宅産業の崩壊の顛末をまとめた本書.序盤には簡単に安宅産業の崩壊の道筋がざっくりまとめられ,中盤以降は住友銀行による安宅産業救済劇として住友銀行と伊藤忠との交渉話が続く.気づけば主人公は安宅産業から銀行と伊藤忠へ変わってしまう. 合併を迫られた伊藤忠の必死な態度がよくわかる.安宅産業自体の問題はあんまりよくわかなかった. 詳細を知るために続いて松本清張の「空の城」を読んでみます.2017/01/05

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