出版社内容情報
佐渡谷 重信[サドヤ シゲノブ]
著・文・その他
内容説明
ポーの生涯は悲惨をきわめた。しかし、その悲惨の本当の姿を知る者は少ないのである。その悲惨さは純粋に生きようとすることから生まれたものであれば、私たちは“生”の不条理を嘆かざるを得ない。しかも、ポーは一九世紀前半の政治的にも、知的にも未熟なアメリカ社会の中で、知のために生きるより“愛”と“美”のために生涯を捧げた。金銭のために死ぬことよりも“愛”のために死ぬことを喜びとしたのである。人生は偉大な闇である。偉大なる闇の中にこそポーの芸術が“神霊”の光を放って、われわれの魂の中に浸透するとき、誰もが寂寞の感にうたれるであろう。ポーの生涯と、その芸術の真髄を知る者のみが己の人生を語る資格を手にするのである。そしてポーの生の苦悩と愛の彷徨は人類の永遠のアポリアでもある。
目次
1 エドガー=アラン=ポーの生涯(ポー家の血筋;アラン家の一員 ほか)
2 エドガー=A=ポーの思想(宇宙観とパスカル;死生観と闇の思想 ほか)
3 詩における愛と美の讃歌(プラトニズムの“愛”;夢の中の幻想と愛 ほか)
4 小説における“滅び”のヴィジョン(“滅び”とは何か;「モレラ」―愛の滅びと再生 ほか)
著者等紹介
佐渡谷重信[サドヤシゲノブ]
1932(昭和7)年東京に生まれる。早稲田大学卒業。現在、西南学院大学名誉教授。アメリカ文学・比較文学・日米比較精神史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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