感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴天
1
基本的に顔の見えぬ航空機上の敵から攻撃される典型的な空襲の描写は冒頭1割しかなく、残り9割は地上戦下の凄惨な様相が描かれ、同時に空襲と艦砲射撃も間断なく襲い来る。赤子を連れ壕から壕へと逃げ惑った婦人は、いつどこから来るかわからぬ迫撃砲が一番恐ろしかったと語り、また本巻では迫撃砲により人々が斃れる様が多く描かれているあたり、戦闘との間近な距離を思わせる。そして米軍の攻撃のみならず、自決、虐殺、徴用、徴発、そして飢餓、マラリアによるむごい様相が、九死に一生を得た人々の重い口から語られるのは何とも形容しがたい。2018/05/04